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 あ、あの、嘘ですよね、何をしにやって来たのですか? 

 こんなに早く……と言っても、お昼過ぎですが。

 追伸、王子はいきなりやって来る。

「おい、いつまで寝ているんだ! 起きろ、僕が来てやった、シャーリーお茶を出せ、クッキーも忘れるな!」

「……え?」

 私の名前はシャーリーですが……また、連絡もせずに来たのですね、王子。

「少し庭でお待ちください、お持ちいたします」

「よろしく頼む!」

 あのあとから王子は大人しく、優しく、なったと。王女、誕生記念の晩餐会に呼ばれたとき、王宮のメイドにそのような話を聞いたのですが……

 ここでの私への優しさは無しですか?

 昨日もいらしたのに、今日もとは、王子に懐かれてしまったのでしょうか?

 もしかして、王子は同じ年頃のお友達が欲しいとか? まったくもって同じ歳ではありませんが……さん……びゃ……きゅう歳ですし。

 くっ、まったりができない、研究が……今日だって、休みで絶賛お寝坊中でしたよ。
 本音を言えばベッドから出たくなかった、文句の一つを王子に言いたいのですが、王子は雇い主の息子さんです。
 
 えぇ重々、分かっています。
 怒らせてはだめ。

(簡単に私の首が飛ぶか、火炙りになる)

 長く生きておりますが、まだ死にたくはありませんので、せっせとお茶とお茶菓子を用意して、庭のテーブルに座る王子にお出しした。

「うぐっ、これわぁ!……」

 なんですか? その王子の面白ろ、顔は。
 ここでの好き嫌いは許しませんよ。

 ちょーめんどくさがりの私が作ったのですから。

「王子、好き嫌いですか?」

「……違う…いただきます」

 いつも王宮では甘いお菓子ばかり食べているのでしょうから。
 王子の体を思い体にいい薬膳ゼリーをお作りして出したのですよ。

 王子は顔を引き攣らせながら、目をぎゅっとつむり、恐る恐る口に運んだ、その顔は驚きに変わる。

「あれ? この前のみたいに苦くない」

「そうでしょう?」

「まぁ、美味しくはないけど」

 一言多い王子ですね。
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