回復魔法をかけるたび傷口から『眼球』が増殖する聖女様と、それを潰して回るのが仕事の僕の、地獄のような冒険譚。
神などいない。もしいたとしても、そいつは間違いなく狂っている。
人々を救う唯一の希望である「聖女」エリス。彼女の癒やしの魔法は奇跡そのものだが、代償はあまりにもおぞましい。傷が癒えるその刹那、閉じた肉の裂け目から無数の『眼球』がボコボコと湧き出し、虚空を睨みつけるのだ。
だから僕がいる。
「ごめんなさい、ごめんなさい……」と泣きじゃくる彼女の隣で、僕は無機質なハンマーを振り下ろす。グチャリ、プチュッ。増殖した眼球を一つ残らず潰して回るのが、僕の役目だ。激痛と恐怖に絶叫する患者を押さえつけ、聖女の奇跡を「完了」させるための、穢れた仕事。
人々は彼女を崇め、返り血に塗れた僕を忌み嫌う。それでも僕たちは旅を続ける。眼球の増殖速度は日に日に増し、最近では潰された眼球が何かを囁くようになった。
これは英雄譚ではない。鮮血と粘液、そして狂気に満ちた、地獄巡りの記録である。聖女が世界を救うのが先か、僕の精神が眼球の視線に耐えきれず崩壊するのが先か。
出口の見えない冒険が、今日もまた、湿った破裂音と共に幕を開ける。
人々を救う唯一の希望である「聖女」エリス。彼女の癒やしの魔法は奇跡そのものだが、代償はあまりにもおぞましい。傷が癒えるその刹那、閉じた肉の裂け目から無数の『眼球』がボコボコと湧き出し、虚空を睨みつけるのだ。
だから僕がいる。
「ごめんなさい、ごめんなさい……」と泣きじゃくる彼女の隣で、僕は無機質なハンマーを振り下ろす。グチャリ、プチュッ。増殖した眼球を一つ残らず潰して回るのが、僕の役目だ。激痛と恐怖に絶叫する患者を押さえつけ、聖女の奇跡を「完了」させるための、穢れた仕事。
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