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旅路〜デザリア・ダンジョン〜

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「トルトル様・・・ポルポル様・・・。」

 シモン・ヤティムは美しい鳥の出現に祈りを捧げるように手を組んだ。
 あまりの美しさに騎士の中にも感涙している者の姿もある。

 そんな中、腰をドンっと押されたヒューゴが振り返るとゼンがクィッと顔を向けた。
 その先には何とも言えない顔で頬を掻くイオリの姿があった。

「・・・なんだ?
 ・・・
 ・・・
 まさか、イオリが名付けたのか?」

 小さく呟くヒューゴにゼンは肯定するように頷いた。

「そんな事が・・・。
 ・・・
 ・・・
 だとしたら、トルトルとポルポルって何だよ・・・。」

 ヒューゴとゼンは呆れたように苦笑した。

「無事に帰って来て良かったよ。
 お前もお疲れ様だったな。」

 ヒューゴに頭を撫でられるとゼンは「当然!」とばかりに誇らしげな顔をするのだった。



「トルトル様。ポルポル様。
 この度は、騒動を起こしまして、申し訳ありませんでした。
 王の代わりにお詫び申し上げます。」

 頭を下げるシモン・ヤティムに続くように騎士団が一斉に膝をついた。

 するとクスクスと笑い声が聞こえた。

『イオリは良い子。』
『イオリは知ってる。』

 筆頭魔法使いの言葉に答える気がないのか、トルトルとポルポルはイオリの真上を旋回した。

「綺麗~。」

「でっかいなぁ。」

「さっきの歌も綺麗だったね。」

「トルトルちゃん。ポルポルちゃん。」

 子供達に微笑むとトルトルとポルポルは光り輝く玉となってダンジョンの入り口に消えていった。

「またね。ありがとう。」

 呟くイオリの耳にクスクスと笑い声が聞こえた。



 辺りが再び、星空に戻るとザワザワと騒がしくなった。

「イオリ殿!!!」

 尋常でない顔で走り寄ってきたシモン・ヤティムをイオリは引き攣った顔で押しとどめた。

「はい!落ち着いてください!」

 すると、横からガバッとパティとスコルが覆いかぶさってきて、続いてナギとニナが腰に抱きついてきた。

「「「「イオリ!!!」」」

「今のって“願いを叶える鳥”さん?」

「イオリ話したの!?」

「どこ行ってたの!?」

「鳥さーーーーん!!」

 子供達に先を越されたとシモン・ヤティムはイオリの肩を掴むと激しく揺すってきた。

「イオリ殿!!
 一体、どういう事だ!
 今のは一体!!
 帰還したのは我々と、ほぼ同じではないか!
 どこに行き、何をしてトルトル様とポルポル様に会ったのだ!?
 エルフ達の事と言い、ジョムシードの事と言い、君は何度も何度も!!
 私は王になんて説明すれば良いのだ!!」

 興奮状態の彼らに何を言っても無駄だと、イオリは無抵抗で身を任せた。

「あぁぁぁ。
 面倒なことにぃぃぃ。
 誰かぁぁぁ。
 助けてぇぇぇ。」

 そんなイオリをヒューゴは呆れながらも笑っていた。

「何やってだ、アイツは。
 俺の主人はしょうがないなぁ。
 あはははは。」

 デザリアの危機は去った。
 しかし、その真相を知るものは少ない。
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