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兆し
第7話 場違いレガシー(1)
しおりを挟む一方、クラウンとセシリアがそんなやりとりをしていたその頃。
それらの状況に全くと言って良い程関係の無いその人は、目の前で起きたセシリアの変わり身に驚き、現状にひどく困惑していた。
その人物とは、勿論――レガシーである。
長らく社交から遠ざかっていたレガシーだ。
実は、セシリアが呼んだ名を聞いて、初めてやってきたのが『クラウン』なのだと気が付いた。
クラウン・モンテガーノ。
その名は良く知っている。
セシリアの情報を周りから集める際に良く上がってきた名前だったから。
しかし、だからこそおかしな事になってるなと思う。
だって。
(その時の話では、確か彼はセシリア嬢と敵対関係にあった筈)
そんな彼が、何故セシリアの元に来て頼み事をしているのか、それが分からない。
どうやらもう論点は別のところに移ってるみたいだが、その話の最初でつまづいてしまったため、最早1人だけ置いてきぼり状態だ。
(……まぁ別に僕は関係ない話だから、ついて行けなくても困りはしないけど)
しかしそれでも、目の前で起きている事くらいは把握しておきたい。
そんな気持ちが彼にはあった。
(うーん……。そもそも、彼の態度がおかしいんだよね)
彼がセシリアに対して、一体どんな態度で相対していたのかは、噂ベースで既に知っている。
しかしその時に聞き摘んだ彼の性格なら、今の置かれている残念な自身の現状も「セシリアのせいだ」なんて言って、逆恨みしそうな所だ。
なのに、何故彼はセシリアに『お願い』をしに来ているのか。
全く以って意味不明だ。
(……当事者同士にしか分からない何かがあるのだろうか)
そんな風に思いながら、彼女の後ろに控える1人の執事を横目で見遣る。
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