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6話
しおりを挟む「十八年……?」
マークは国王の示した年数に息を呑む。
「自分のしたいことは禁じられ、毎日厳しい教育を施され、加えて次期王妃の期待が、プレッシャーが付き纏い続ける。想像できるか?」
「…………」
マークは言い返せない。
自分の次期騎士団長という立場よりも期待も、プレッシャーも遥かに大きいのに、それを背負い続けるなど地獄だろう。
「アメリアは全てを犠牲にしてきたのだ。それを関係のない平民に奪われて平気な人間などいるとでも思うか?」
「……」
マークは拳を震わせる。
自分がアメリアにした仕打ちを理解したからだ。
「お前は大層な正義感を掲げ、アメリアを罵倒したようだな。何も知らない癖をして、目の前の悪党を正義の拳を持って殴りつけることはさぞや爽快だっただろう」
「わ、私は……」
マークは目を泳がせる。
声は震えていた。
もはや言い逃れは出来ない。
確かに自分は正義感に酔いしれ、アメリアを言葉の暴力で殴りつけたのだから。
「貴様の処遇は後で伝える。それよりも、一番質が悪いのは、お前だ。サイモン」
マークを一瞥したあと、国王はサイモンへ目を向けた。
「お前はアメリアがどんな犠牲を払ってきたかを分かっていながら、それを自分の都合で投げ捨てろ、と命令したそうだな」
「命令など……」
「報告によれば、すでに確定事項のようにアメリアに告げたようじゃないか。命令じゃないなら、何のつもりなのだ?」
「ですが! 私がローラと結婚するためには──」
「お前になぜ自由があると思っているんだ」
「なっ!?」
サイモンは驚愕する。
自分には人並みの幸せを追求する権利があると考えていたからだ。
「私だって人間です! 愛する人と婚約することがそんなにおかしいですか!」
「ああ」
国王は断言した。
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