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4話

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「いやでも……」

 クリスはごにょごにょと意味の分からない言葉を呟く。

 どうやら覚悟はできていなかったようだ。

「そもそも、私があなたに忠告したのは、最後に残っていた婚約者としての情けです。それすら否定したあなたにこれ以上かける情けはありません」

「……」

 クリスは反論することが出来なくなったのか、黙ってしまった。

「そもそも、私が何故こんな地味な見た目をしているのか、覚えていますか?」

「え?」

 私はユーティとは違って化粧もしておらず、髪は飾り気の無いリボンで結ばれているだけ。

 学園のパーティーだというのに、だ。

 これには理由があった。

「これは全て、あなたの命令ですよ? クリス様」

「えっ……?」

「自分より目立つな、とあなたが命令したんじゃないですか。化粧も服も全て地味なものにしろ、と。婚約者の要望ですから今まで我慢してきたですよ?」

 私はクリスに質問するが、クリスは戸惑っているだけで、「覚えている」という答えは返ってこない。

「まさか……覚えていないんですか?」
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