黒狼の銀の盾《コクロウのイージス》
銀の髪を失った元騎士団長と、漆黒の髪を持つ警護団副団長――二人の「護る者」が惹かれ合う。
五竜の加護を持つ証である銀髪を持ち、「メランリュクスの銀の盾」と呼ばれた17歳のイージスは、第2王子でありながら、西の大陸、メランリュクス王国騎士団長として、護るべき祖国のために生きてきた。
冬のある日。東の大陸から持ち込まれた違法魔法薬により、竜たちが暴走し、祖国は一夜にして滅ぶ。従兄のオルニスが己の加護と引き換えに、イージスを東の大陸に逃がすが、オルニスの「お前がいれば大丈夫だ」という最期の言葉は、イージスの心を縛る呪いの言葉となる。
10年後。自分のかつての銀髪は失われ、茶色に変わった髪は、竜の加護も失ったかのように思われた。イージス=アルギュロスと名を変え、運び屋として東の大陸で生きている。「護るべきものはもう何もない」と自分に言い聞かせながら。
そんなイージスが、漆黒の髪を持つ一人の美しい男と出会う。男の名は、クロエ=ファルカス。都市の警護団「黒の団」の副団長。「護る者」ファルカスに自分を重ねるが、二人には、決定的な違いがあった。「護るべきものを護れなかった」自分と「己の護りたいものを護る」ファルカス。いつしかその姿に特別な気持ちを抱くようになる。
今――止まっていた時が流れ出す。
これは、護るべきものを失った男が、再び誰かを護ることを決意するまでの物語。
そして、自分も誰かに護られることを受け入れる物語。
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