魔眼持ちの伯爵家当主(旧題:魔眼持ちの伯爵令嬢)

ロシキ

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14話

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私が吹き出した事で、面白さが伝播し、周りで男共が転んだのを見ていた殆どの人間は、肩を震わせて、笑うのを耐えていた。
というのも、転んだのは第一王子を含めて高位貴族の子息ばかり、そんな男共を笑っては将来に差し障るからだ。

そんな笑う事に耐えていた者達を無視して、私は普通に笑っていた。

「ぜ、全員が綺麗に、更に同時に転んでたよ、フィーナっ。この方々は、がっ、学園騎士団の進行の練習でもしてたのかな?」

「ぷっ!!ふふ、くくく」

私が素直な感想を口に出すと、フィーナと私の言葉を聞いていた周囲は、耐えきれない者が多かった。
その中でも低位貴族の子息や令嬢、平民に耐えられずに笑ってしまう者が多かった。

因みに、学園騎士団とは、学園にあるクラブの1つである。
しかし、学園騎士団は騎士団とは名ばかりのお遊戯騎士団になっているのだ。
分かりやすく言えば、きちんとした騎士団に入りたいと、予め進路を決めて学園に来ている者は絶対に入らない、入ってしまったとしても1ヶ月で辞めるクラブである。

クラブとは、学園に幾つもあり、同じ趣味や特技なんかを、クラブの中で更に伸ばしましょうという感じの集団だ。

数や種類は豊富だが、そこまで惹かれる物が無かったので、私はフィーナが何処かに入りたいと言わな限りは入らない予定である。
因みに、フィーナは生徒である前に私の護衛なので、入るとしても私と同じクラブしか入れない。

私がそんな事を考えていると、滑った男達がようやく立ち上がった。
それを見て、私は更にばかにする為に、笑いながら言った。

「さ、先程は近年で稀に見る程に上手く、同時に滑れてましたね。学園騎士団との合同練習でもされてみては如何ですか?」

「「「「「ぷっ!!あははははははは!!!」」」」」

私の止めの一言で、周りで聞いていた人間は殆どが爆笑した。
フィーナと高位貴族の子息は根性で、高位貴族の子女は扇子で顔を隠す事で耐えているが、それでも変な顔をしているので確実にウケているだろう。

そんな風に馬鹿にされて、馬鹿共が黙っている訳がなく、馬鹿王子が怒りの表情で叫んだ。

「俺を馬鹿にして、不敬罪で殺されたいのか!!」

馬鹿王子が叫んだ瞬間、笑っていた者や変な顔をして耐えていた者達は、冷水を頭から被せられたような表情をしてピタリと止まった。
まあ、今笑っていた者の殆どが、爵位の低い貴族の子息や令嬢、それに平民だった。
一応高位貴族の子息や令嬢は意地で耐えていたので、確かに不敬罪で処刑される可能性もなくはない。

しかし、私は叫んだ馬鹿を冷ややかな目で見ながら、鼻で笑った。

「はっ、目の前で耐えられない醜態を晒したのは貴方達ではないですか。不敬罪だと叫ぶ前に、王家や高位貴族家の名を笑い者にしてしまった自分達を処刑したほうが、良いと思いますよ」
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