2度目の人生は星降る夜に。

昔々あるところに、1人のお姫様がいました。

お姫様はとても美しく、清らかな心の女の子でした。

優しくて強いお姫様を民衆は大好きでした。

そんな民衆をお姫様もとても大好きでした。

“護りたい”と願い、禁忌に触れました。

禁忌から漏れた“災厄”はあっという間に国中を覆って、人々を化け物に変えてしまいました。

“禁忌”から漏れた“災厄”は魔力に変わり、世界には魔物が溢れました。

“魔物”は人です。

元は人「だった」のです。

禁忌──それは神様より開けてはだめだよ、と言われた“パンドラの箱”を開けてしまったからです。

時待たずして、事態の終息の為にお姫様は剣を手に立ち上がります。

元は人だった魔物(彼ら)をたった一人で魔力へと還す旅にお姫様は旅立ちます。

竜の谷、絶対零度の洞窟、不死者の塔、血塊戦線の古戦場、永久焦土の岩窟、操り人形の館(マリオネットハウス)、狂い咲き姫の花園…と後の世に呼ばれる世界七大迷宮の誕生です。

お姫様は元は人だった魔物の血で全身真っ赤に染めます。

たった一人で立ち向かったお姫様…人々はそんな事を知らず、非難します。

“お前のせいで俺の友人は魔物に目の前で変わってしまった”

“私の子供を返して!”

“この子は…、魔物じゃないっ!私の子よ…いやっ、やめてぇーーっ!!”

“──悪魔、悪魔よ!!”

“元はと言えばあんたが──っ、”

“あんたの顔は見たくない…出ていってくれ。”

怨嗟の声が、魔物に変わってしまった家族を目の前で殺された者、哀しみに暮れる者、嘆き哀しむ人々の声が…お姫様を苛みます。

…それでも、お姫様は剣を取り振り続けます。

“災厄”を消し去るまで。

──やがて、お姫様の国中の人々が魔物に変貌し、お姫様はこれを討ちました。

誰も居なくなった国で、お姫様は一人泣きます。

“ああ、私は間違っていたのか──”

この言葉を最期にお姫様は最後に自身の喉を掻き切って生き絶えました…。



それから幾星霜──そんな昔話も人々の記憶からも忘れた頃。

“禁忌”は再び現世に“災厄”を降り蒔き始めます─…ああ、人々はどうするのでしょう?

“お姫様”は“また”喪うのでしょうか…?

これは、そんなお話しなのです。

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