日々を急ぐ私に、沈丁花は沈黙のまま語りかけた

三月の初め。季節はまだ冬と和解できずにいる。
朝の刺すような冷気の中で、警備員さんがそっと手渡してくれたのは「沈丁花が咲いていますよ」という言葉だった。
名前は知っている。けれど、その姿も、香りも知らなかった。
古い手紙の封を切るようにして歩み寄った花壇で、私は長く忘れていた旋律と出会うことになる。
冬の終章と春の前奏曲が混ざり合う、一瞬の静寂を描いたショートエッセイ。
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