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第4章
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「…………あ、あの…」
「はい。何かございましたかお嬢様?」
にこにこと今日も今日とて素敵なセバスの微笑みに気絶したくなる。私頑張れ!
何か?……あります!ありますよ!すっごくあります!めちゃくちゃありますよーーー!
今この状況が正にそれじゃない!?
嬉しい!正直言ってめちゃくちゃ嬉しいけどさ!大好きな人のお膝抱っこなんてそらもう気絶したいほど嬉しいけどさ!あれじゃない?もう、もうもうもう!ヤバ過ぎる!!
甘々セバスに嬉しさより恥ずかしさで死ねる!いや、死んだ!
体内で心臓大破裂決定よ!…………いやまぁ、それは嘘だけど。
「お顔が赤いようですがやはり風邪を召されましたか?」
心配そうな顔でそう言ってきたかと思えば、コツンと合わされた額に一瞬気絶した。
そんな美しいご尊顔を間近で見られたことは私の一生の宝です………って遺言書みたいじゃない!やばいやばい。
そもそも何故私は膝に乗せられているのか?ただいつもみたいに少し手を握ってほしいと頼んだだけなのだが。なのに……
「ええ。では失礼して」
そう言いまさかのお姫様抱っこ再びかと思えば、そのままソファに腰を下ろし両手を撫で撫でされている今です。
あまりのことに頭がついていかず何も反応出来ませんでしたけど何か?
その数分後現状を理解して茹で蛸状態ですけど何か?
もういっそ殺して!いやダメ!もうちょっとこの幸せに浸ってたい!
脳内でノリツッコミを繰り返すアメリに、しかしセバスはこれまたにこにこと幸せそうなお顔。
「あの……セ、セバス?その……て、手が……」
「手でございますか?どこか怪我でも?」
「ひゃっ」
それは大変だと確認するように撫でられた手の平に変な声を上げてしまった。
恥ずかしさに顔を隠したいが、両手とも未だセバスに確保されてしまっているためそれも出来ず俯くことぐらいしか出来ない。
「(あぁ…なんて可愛いらしい)」
「え?あ、あの何?何か言った?」
「いいえ。……どうやら怪我はされていないようですね。安心いたしました」
あまりに小さな呟きに聞き逃してしまったが、何んでもないというセバスの微笑みに聞かない方がいいだろうと黙って頷いておくことにした。
「何かお話しがあるとテティから聞きましたが」
そう。王子との婚約のことを話そうと思ってテティに呼びにいってもらっていたのだ。
なのに何がどうやって何故こうなったのか?
どう話そうと迷っていた中でのセバスの攻撃に更に頭が回らなくなっている気がする。
「えっと、その、あの……あの、だから………王子が馬鹿で…って違う。その……私は王子が嫌い……なのはどうでもよくて。えっと、私だから……」
自分の頭の悪さと落ち着きのなさに泣きそうになってきた。
「大丈夫、大丈夫です。ゆっくりで構いませんよ。お嬢様のお言葉一つ一つが私の喜びでーー」
「好きなの。セバスのことが大好きなの。ずっと側にいたいの。ずっとずっと一緒にいたいの」
「っ」
混乱する中、あまりに優しいセバスの声と言葉に何も考えずそう発していた。
「我儘だって分かってたけどお父様にお願いしたの。セバスといたいって。ダメだって分かってたけど諦められなくて。親不孝って言われても諦めたくなくて。ごめん、ごめんなさい。セバスに何も言わないで勝手にーー」
「それほど想っていたと言われ喜びこそすれ、謝っていただくことなど何一つございません。私も何より、誰よりお嬢様を愛しております」
「……………違う、違うの。そうじゃないの。ごめん、なさい。本当にごめんなさい」
抱き寄せられ何より嬉しい言葉に涙が溢れた。
自分はただ運が良かっただけだ。
実際こうして両想いになれる保証も、確証も何一つなかったのだから。
自分の勝手な我儘に家族を巻き込み、碌な人間ではないとは言え王族ですら願いのため利用した。
「王子との婚約は嘘なの。初めから破棄する約束でそうしたの。破棄になれば、王子との婚約破棄ともなればその後の嫁ぎ先もなくなるから。傷者の令嬢なんて勘当されるか、修道院に入るぐらいしかなくなるから。そうしたらもう何も気にすることなく側にいられるって……」
だが今にして思えば自分がどれだけ欲深い愚かな人間だったかよく分かる。
アメリア自身はそれで良くとも、セバスはそうはいかないだろう。
仕える主人の娘に手を出したと分かったら普通ならば即刻クビを言い渡される。
彼もアメリアを想ってくれたから良かったものの、仕える相手に嫌だと言えず従うしかなかったと言われる可能性もあった。
「私は酷い人間だわ。とてもとても醜い。自分の欲のためだけに行動していた。でも………でもそれでもいい?それでもまだ私のことを愛してくれーー」
「愛しております。先程も申しましたでしょう?何より、誰より貴方様を愛しております。貴方にこれほど愛されているなど幸せ以外のなにものでもない」
目を合わせ、本当に嬉しそうに笑う彼に唯々涙が溢れるのだった。
「………私も、セバスを愛しているわ」
「はい。何かございましたかお嬢様?」
にこにこと今日も今日とて素敵なセバスの微笑みに気絶したくなる。私頑張れ!
何か?……あります!ありますよ!すっごくあります!めちゃくちゃありますよーーー!
今この状況が正にそれじゃない!?
嬉しい!正直言ってめちゃくちゃ嬉しいけどさ!大好きな人のお膝抱っこなんてそらもう気絶したいほど嬉しいけどさ!あれじゃない?もう、もうもうもう!ヤバ過ぎる!!
甘々セバスに嬉しさより恥ずかしさで死ねる!いや、死んだ!
体内で心臓大破裂決定よ!…………いやまぁ、それは嘘だけど。
「お顔が赤いようですがやはり風邪を召されましたか?」
心配そうな顔でそう言ってきたかと思えば、コツンと合わされた額に一瞬気絶した。
そんな美しいご尊顔を間近で見られたことは私の一生の宝です………って遺言書みたいじゃない!やばいやばい。
そもそも何故私は膝に乗せられているのか?ただいつもみたいに少し手を握ってほしいと頼んだだけなのだが。なのに……
「ええ。では失礼して」
そう言いまさかのお姫様抱っこ再びかと思えば、そのままソファに腰を下ろし両手を撫で撫でされている今です。
あまりのことに頭がついていかず何も反応出来ませんでしたけど何か?
その数分後現状を理解して茹で蛸状態ですけど何か?
もういっそ殺して!いやダメ!もうちょっとこの幸せに浸ってたい!
脳内でノリツッコミを繰り返すアメリに、しかしセバスはこれまたにこにこと幸せそうなお顔。
「あの……セ、セバス?その……て、手が……」
「手でございますか?どこか怪我でも?」
「ひゃっ」
それは大変だと確認するように撫でられた手の平に変な声を上げてしまった。
恥ずかしさに顔を隠したいが、両手とも未だセバスに確保されてしまっているためそれも出来ず俯くことぐらいしか出来ない。
「(あぁ…なんて可愛いらしい)」
「え?あ、あの何?何か言った?」
「いいえ。……どうやら怪我はされていないようですね。安心いたしました」
あまりに小さな呟きに聞き逃してしまったが、何んでもないというセバスの微笑みに聞かない方がいいだろうと黙って頷いておくことにした。
「何かお話しがあるとテティから聞きましたが」
そう。王子との婚約のことを話そうと思ってテティに呼びにいってもらっていたのだ。
なのに何がどうやって何故こうなったのか?
どう話そうと迷っていた中でのセバスの攻撃に更に頭が回らなくなっている気がする。
「えっと、その、あの……あの、だから………王子が馬鹿で…って違う。その……私は王子が嫌い……なのはどうでもよくて。えっと、私だから……」
自分の頭の悪さと落ち着きのなさに泣きそうになってきた。
「大丈夫、大丈夫です。ゆっくりで構いませんよ。お嬢様のお言葉一つ一つが私の喜びでーー」
「好きなの。セバスのことが大好きなの。ずっと側にいたいの。ずっとずっと一緒にいたいの」
「っ」
混乱する中、あまりに優しいセバスの声と言葉に何も考えずそう発していた。
「我儘だって分かってたけどお父様にお願いしたの。セバスといたいって。ダメだって分かってたけど諦められなくて。親不孝って言われても諦めたくなくて。ごめん、ごめんなさい。セバスに何も言わないで勝手にーー」
「それほど想っていたと言われ喜びこそすれ、謝っていただくことなど何一つございません。私も何より、誰よりお嬢様を愛しております」
「……………違う、違うの。そうじゃないの。ごめん、なさい。本当にごめんなさい」
抱き寄せられ何より嬉しい言葉に涙が溢れた。
自分はただ運が良かっただけだ。
実際こうして両想いになれる保証も、確証も何一つなかったのだから。
自分の勝手な我儘に家族を巻き込み、碌な人間ではないとは言え王族ですら願いのため利用した。
「王子との婚約は嘘なの。初めから破棄する約束でそうしたの。破棄になれば、王子との婚約破棄ともなればその後の嫁ぎ先もなくなるから。傷者の令嬢なんて勘当されるか、修道院に入るぐらいしかなくなるから。そうしたらもう何も気にすることなく側にいられるって……」
だが今にして思えば自分がどれだけ欲深い愚かな人間だったかよく分かる。
アメリア自身はそれで良くとも、セバスはそうはいかないだろう。
仕える主人の娘に手を出したと分かったら普通ならば即刻クビを言い渡される。
彼もアメリアを想ってくれたから良かったものの、仕える相手に嫌だと言えず従うしかなかったと言われる可能性もあった。
「私は酷い人間だわ。とてもとても醜い。自分の欲のためだけに行動していた。でも………でもそれでもいい?それでもまだ私のことを愛してくれーー」
「愛しております。先程も申しましたでしょう?何より、誰より貴方様を愛しております。貴方にこれほど愛されているなど幸せ以外のなにものでもない」
目を合わせ、本当に嬉しそうに笑う彼に唯々涙が溢れるのだった。
「………私も、セバスを愛しているわ」
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