『大ポカばかりの私が、公爵家で唯一無二の“奇跡”になった話』 ~注意欠陥少女は溺愛されて覚醒する~

『大ポカばかりの私が、公爵家で唯一無二の“奇跡”になった話』

~注意欠陥少女は溺愛されて覚醒する~

---

何度もやり直した
何度も気をつけた

メモをして
アラームをかけて
忘れないように、忘れないようにって

それでも——

大事な日に限って
全部、落とす

鞄の底に沈んだ書類みたいに
約束も、信頼も、評価も

するりと手から抜けていく

---

「なんでできないの?」

その言葉だけが
いつも正確に届く

私はちゃんとやってるのに
私はずっと頑張ってるのに

最後の一歩で
全部、なかったことになる

---

認められたと思った日もあった

画面の向こうで
「面白い」って言われた日

「すごいね」って
初めて言われた日

——ちゃんと、届いたと思ったのに

気づかなかった通知ひとつで
全部、消えた

---

「違うのに」

その一言も
間に合わなかった

---

そして私は
また、終わった

---

目を開けたら
知らない天井

知らない世界

知らない名前

でも——

同じ私だった

---

また、やらかす

また、ずれる

また、合わない

---

「捨て子のくせに」

「疫病神」

言葉が刺さるたびに

ああ、やっぱりって思った

---

でも、ひとりだけ
違うことを言う人がいた

---

「それは欠陥ではありません」

---

その言葉は
少し遅れて届いた

でも、確かに届いた

---

「あなたは、見えすぎているだけです」

---

私は
はじめて
自分を疑わなかった

---

変な感じがする

その感覚は
間違いじゃなかった

---

毒も
嘘も
歪みも

全部、わかる

---

今まで「ズレ」だと思っていたものが
誰よりも早く
世界のほころびを見つけていた

---

私は壊れていなかった

ただ
世界と噛み合っていなかっただけ

---

そして

やっと

噛み合う場所に来た

---

「あなたは、唯一無二です」

---

その言葉は
今度こそ

消えなかった

---

何度落としても
何度遅れても
何度間違えても

---

それでも残るものがあると
私は、やっと知った

---

大ポカばかりの私が

それでも

ここで

奇跡と呼ばれた

---

少しだけ

笑ってもいい気がした

24h.ポイント 498pt
0
小説 2,696 位 / 220,213件 現代文学 25 位 / 9,261件

あなたにおすすめの小説

侯爵家の婚約者に手を出す意味、わかってます?

碧井 汐桜香
恋愛
侯爵令嬢ジョセリアは地味な外見をしている少女だ。いつも婚約者のアランとその取り巻きの少女たちに罵倒されている。 しかし、今日はアランの取り巻きは一人しかおらず、いつも無視を決め込んでいたジョセリアが口を開いた。

あなたの愛はいりません

oro
恋愛
「私がそなたを愛することは無いだろう。」 初夜当日。 陛下にそう告げられた王妃、セリーヌには他に想い人がいた。

婚約者は妹のような幼馴染みを何より大切にしているので、お飾り妻予定な令嬢は幸せになることを諦めた……はずでした。

待鳥園子
恋愛
伯爵令嬢アイリーンの婚約者であるセシルの隣には『妹のような幼馴染み』愛らしい容姿のデイジーが居て、身分差で結婚出来ない二人が結ばれるためのお飾り妻にされてしまうことが耐えられなかった。 そして、二人がふざけて婚姻届を書いている光景を見て、アイリーンは自分の我慢が限界に達そうとしているのを感じていた……のだけど!?

「言ってくれれば手伝ったのに」過労で倒れた私に微笑む無神経な夫。~親友を優先させ続けた夫の末路~

水上
恋愛
夫の持病を和らげるため、徹夜で煮詰めた特製コーディアル。 彼はそれを数秒で飲み干し、私の血を吐くような努力を「ただの甘い水だね。もっとパッと作れないの?」と笑った。 彼の健康も商会の名声も、私が裏で支えているとも知らずに。 ある日、過労で倒れた私は、「言ってくれれば手伝ったのに」と無神経な夫に微笑まれた時、心の中で決意した。 地下室にあるコーディアルの瓶は残り15本。 これがすべて空になるまでに彼が変わらなければ、離縁状を叩きつけよう。 私を失い、体調も商会も崩壊して這いつくばる夫をよそに、私は真の評価を得て自分の人生を歩み始める。 これは、透明な存在として扱われ続けた私が、失望のカウントダウンを進めて自立するまでの、そして、すべてを失った夫が惨めに後悔するまでの物語。

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

試験でカンニング犯にされた平民ですが、帝国文官試験で首席合格しました

あきくん☆ひろくん
恋愛
魔法学園の卒業試験で、私はカンニング犯に仕立て上げられた。 断罪してきたのは、かつて好意を寄せてくれていた高位貴族の子息。そしてその隣には、私を嫌う貴族令嬢が立っていた。 平民の私には弁明の余地もない。私は試験の順位を辞退し、その場を去ることになった。 ――だが。 私にはもう一つの試験がある。 それは、帝国でも屈指の難関といわれる帝国文官試験。 そして数日後。 その結果は――首席合格だった。 冤罪で断罪された平民が、帝国の文官として身を立てる物語。

愛さないと言われた妻、侍女と出て行く

菜花
ファンタジー
お前を愛することはないと夫に言われたコレットは、その日のうちに侍女のイネスと屋敷を出て行った。カクヨム様でも投稿しています。

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。