『空白の筆致』私の原稿を奪って文学賞を獲った女へ。もう一行も書きません
『空白の筆致』
拍手が
一拍だけ遅れて届く
光の中で
名前が呼ばれる
その音だけが
やけに軽い
---
言葉は
口から出ていくとき
もう
誰のものでもない顔をする
整えられて
磨かれて
意味だけを残して
体温を捨てる
---
白い紙に
黒い線を置く
それだけのことが
どうして
こんなに重かったのか
---
一滴
インクが
紙を外して落ちる
そこに
理由はなかった
ただ
触れなかった
---
うまく書けている
そう言われるたびに
何かが
少しずつ軽くなる
軽くなって
薄くなって
やがて
どこにも落ちなくなる
---
声がする
言葉には
血が通っていなければならない
誰の声か
思い出せないまま
同じ一文を
何度も書き直す
---
鏡の中で
口の動きと
音が合わない
問いだけが残る
私は
どこで感じていた?
---
美しい文章は
触れた瞬間に分かる
何も
残っていないことが
---
奪うことは
持つことではなかった
似せることは
続けることではなかった
---
言葉は
誰かの内側でしか
呼吸できない
外に出した瞬間
それは
形だけを残す
---
静かな海
誰にも届かないノート
落ちてくる言葉は
初めて
軽かった
---
空白は
失われたものではなく
最初から
そこにあったものだった
拍手が
一拍だけ遅れて届く
光の中で
名前が呼ばれる
その音だけが
やけに軽い
---
言葉は
口から出ていくとき
もう
誰のものでもない顔をする
整えられて
磨かれて
意味だけを残して
体温を捨てる
---
白い紙に
黒い線を置く
それだけのことが
どうして
こんなに重かったのか
---
一滴
インクが
紙を外して落ちる
そこに
理由はなかった
ただ
触れなかった
---
うまく書けている
そう言われるたびに
何かが
少しずつ軽くなる
軽くなって
薄くなって
やがて
どこにも落ちなくなる
---
声がする
言葉には
血が通っていなければならない
誰の声か
思い出せないまま
同じ一文を
何度も書き直す
---
鏡の中で
口の動きと
音が合わない
問いだけが残る
私は
どこで感じていた?
---
美しい文章は
触れた瞬間に分かる
何も
残っていないことが
---
奪うことは
持つことではなかった
似せることは
続けることではなかった
---
言葉は
誰かの内側でしか
呼吸できない
外に出した瞬間
それは
形だけを残す
---
静かな海
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落ちてくる言葉は
初めて
軽かった
---
空白は
失われたものではなく
最初から
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