お前の辞書に自重って文字を加えてくれないかな!?

かむかむ

文字の大きさ
43 / 107
暗雲

第41話 スライムは嫌なのか

しおりを挟む
「あ゛ァアぁあ゛アアーーーッッ!」

 壁を抉じ開け、一気に全てを捻じ込む。
 逞しい体が激しく跳ね回って、大量に精液を吐き出した。
 スライムが体を震わせ、体内に放出される白濁をごくごくと飲んでいく。

「イぁ゛ううッ! ひぅッぁあううっ!」

 尿道と胎内の両方で、意思を持った粘体が蠢き吸い上げられている。
 人間の手では到底不可能な責め苦に、いつも性器だけでもイき狂っている男が悲鳴を引き攣らせた。

「く……っ」

 泣き声が大きくなる中、俺も小さく息を飲む。

 あつい。でも、冷たい。
 引き抜かないまま押し入った場所で、肉璧の熱さとスライムの冷たさを同時に味わう。

 俺も驚いたが、旭陽の体はそんなものでは済まなかったらしい。
 慣れない刺激に怯えていた璧が、知っている熱と形に悦んで一斉に絡み付いてきた。
 ……俺しか知らないって感じがして、凄くイイ。

 いつもよりも激しく吸い付いてくる隘路に、我慢を考える余裕もなく射精感が高まる。

「ッ旭陽、出る……っ」

 両腕を旭陽の体に回し、美味そうに色付いている項に歯を立てた。
 びくりと震える動きを腕の中に閉じ込め、結腸の奥に大量の白濁を流し込む。

「ヒッぁ゛あアアあーーッッ!」

 びゅくびゅくと注ぎ込まれる熱に、旭陽がまた射精した。
 まだイってるのは分かってるけど、こっちは昨日から我慢していたんだ。もう僅かたりとも我慢できない。
 俺自身もイったばかりだが、すぐに腰を引いて抉じ開けた壁から抜け出す。

「ッヒぅう!」

 跳ね上がった頭が、後ろから抱き締めている俺の肩にぶつかった。
 前立腺目掛けて腰を注ぎ込めば、どろりとまた精液がスライムの中に吐き出された。

「ッィ゛ぁッあ!?」

 がくっ、と肩が大きく揺れた。
 強く奥を穿って、また行き止まりを抉じ開ける。
 腹に回した腕が、手で押さえた時と同じくまた中から押し上げられるのを感じた。

「ッきハァアああ゛ぁッ!」

 飲み込めない唾液を伝わせながら、震える唇から淫気に染まった悲鳴が迸る。
 さっきまで完全に拒否していたのに、今は嫌がっている声には聞こえない。

 全身に淫毒が浸透しきっているという状況は、今もさっきも変わらないはずなんだけど――
 自意識過剰だろうか。俺が挿入したら、拒否の色が消えたように思うのは。

「ァッ、ひぅッ、ウ゛っ! アッぁ゛っきィッ、ぃアあッ!」

 突き上げる度に泣きながら精液を吐き出している男を見ていると、どうしても血を飲みたくなってきた。
 疼く牙から意識を逸らすため、甘い匂いを纏っている体に何度も歯を食い込ませる。

 ……もっと密着したいな。僅かな隙間もないくらいに。
 前のめりになっていた足を折り畳み、膝の上に旭陽を無理矢理引き上げた。
 旭陽自身の自重によって、一層深く俺が突き立つ。

「ッっヒッゃ゛うァアあ゛あーーッ!」

 シーツの上で、褐色の足がのたうち回る。
 旭陽の体が跳ねる度に、俺の腕とペニスに挟まれている弱点を自ら押し潰している。

「ヒゃうッあアアッ! ひっぃイ゛ああッ!」

 びゅるびゅると吐き出され続ける精液は、ペニスの外に出るより前にスライムが直接吸い付いて取り込んでいる。
 俺が結腸を穿てば、前立腺に取り付いた粘体が微弱な電気をシコリに流す。

 ぎゅうぎゅうと締め上げられて、俺もまた旭陽の中で吐精した。
 奥に吐き出される熱さに反応して、射精中の男が体液を伴わない絶頂にも陥る。

「ッかっあ゛ひっヒぐぅッ! ぁっア゛ー……っ!」

 頭上で縫い止められた腕が、掴むものがない指先を強く握り込んで震えている。
 今にも爪が掌の皮膚を突き破ってしまいそうだ。

 そんなことするより、俺に縋れば良いのに。
 自分で旭陽の両手を届かなくさせておきながら、ついそんな不満を抱いてしまう。

 その直後、褐色を拘束する桃紅色がするすると降りてきた。
 がたがたと震える腕は上に向けて持ち上げられたまま、肘から先が俺を挟んで下方へと引かれる。
 仰け反った背中が俺の胸板に押し付けられ、粘液に包まれた手首は首裏へと回された。

 正面から腕を回されれば一番だったが、後ろから貫いていたのは俺自身なのだから仕方がない。
 俺の頭を挟む形で動かせなくなった腕に軽く歯を立て、頭を傾げただけで届く位置にきた腋に舌を這わせた。

 前に本気で嫌だと言われた行為だが、すぐ近くで晒されていれば我慢できない。
 俺はいつでも、甘い体の全部を味わいたいんだから。
 
「ッひ、ゃ゛っあ! ャあッぁう……っ!」

 微かに頭が振られる。
 何を嫌がっているのか言葉にされていないからと、気にせずに朱の痕を残した。
 言葉にしないんじゃなく、感じすぎて碌に喋れないんだって理解してるけどな。

 触れて欲しそうな乳首を指で押し潰し、摘み上げて爪を立てる。
 バチッ、とまた前で電流が弾けた。

「ッぁ゛うアッ! ヒッぃあア゛! ア、きッ、ぁっ、ゃ゛めぇえ……ッ!」
「何をやめて欲しい?」

 旭陽が首を振る度に大粒の涙が散っている。
 耳に噛み付いてみれば、びくりと腰が跳ねた。
 僅かに抜けた分だけ、自重で自ら飲み込んでいく。

 硬直しては脱力して、自分でももう制御できていない体を俺に預けきっている男にもう一度囁いた。
 ぶれている瞳が空中を彷徨い、俺と視線を合わせようとしている。
 一応、何を尋ねられたかは辛うじて認識しているようだ。


 いつもなら旭陽に求めさせることはあっても、まだ意識があるのに中断したりはしない。
 でも、今日は――本当は、こんなに泣かせるべきですらないだけの理由があった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。

あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。 だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。 よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。 弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。 そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。 どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。 俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。 そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。 ◎1話完結型になります

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結】白豚王子に転生したら、前世の恋人が敵国の皇帝となって病んでました

志麻友紀
BL
「聖女アンジェラよ。お前との婚約は破棄だ!」 そう叫んだとたん、白豚王子ことリシェリード・オ・ルラ・ラルランドの前世の記憶とそして聖女の仮面を被った“魔女”によって破滅する未来が視えた。 その三ヶ月後、民の怒声のなか、リシェリードは処刑台に引き出されていた。 罪人をあらわす顔を覆うずた袋が取り払われたとき、人々は大きくどよめいた。 無様に太っていた白豚王子は、ほっそりとした白鳥のような美少年になっていたのだ。 そして、リシェリードは宣言する。 「この死刑執行は中止だ!」 その瞬間、空に雷鳴がとどろき、処刑台は粉々となった。 白豚王子様が前世の記憶を思い出した上に、白鳥王子へと転身して無双するお話です。ざまぁエンドはなしよwハッピーエンドです。  ムーンライトノベルズさんにも掲載しています。

処理中です...