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番外編

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「ッぅンんうっ! ぅうーっ! ふぅっゥッぁう……ッ」

 がくがくと男の腰が震えて、硬くなった股間部が俺のモノと摩れ合った。
 服の上からでも、湿り気が広がっていくのが伝わってくる。

 震えている膝が折れる前に腰へ腕を回し、歯列を舌でなぞっていく。

「ッふ、っぁ、んぅっ……!」

 一度舌を解けば、慄いていた肩から一気に力が抜けた。
 震える肩を上下させて、乱れきった呼吸をどうにか整えようとしている。

「ッん、!?」

 舌を伸ばして口蓋垂こうがいすいをそっとつつく。
 今から触れるぞ、と伝える為だ。

 俺の意図を理解した体が、また一気に強張った。
 顔を背けようとしている動きを強引に押し留めて、喉の奥へと舌を伸ばす。

「ッんンー……っ! ッふ、っぅ、ッ!」

 さっきまで蹂躙されていた口腔内を遠慮なく擦られて、旭陽の膝ががくりと折れた。
 俺に支えられた体が倒れ込むことはなく、腕に力が入っていない腰が押し付けられるだけに留まる。

 膝が砕けて不安定感が増したのか、男が微かに首を振った。
 ほんの小さな動きも抑え込み、喉の奥に俺の唾液を流し込む。

「ッンぐ、っぅ゛、んんっ……! ッ、っふ、ぅ、ァッ……!」

 喉口を舐め回されながら、ぼろぼろと涙を落とす旭陽は健気に喉仏を上下させている。
 ごくごくとお互いの唾液を飲み込んではいるが、飲み込みきれずに口端から溢れ出ている分もあった。
 また舌を絡め取り、裏筋に甘く歯を立てる。

「ッっぁ、ッ゛、!」

 がくがくっ! と激しく腰が跳ね上がり、その拍子に互いの股座が強く擦れ合った。

「っぁ、ッヒ!」
「っく……!」

 短い悲鳴が耳を打つと同時に、俺もぞくぞくと歓喜の電流が背筋を貫いた。

 体が跳ねた拍子に離れかけた口を、噛み付くに近い勢いで再び深く塞いだ。
 じゅるじゅると音を立てて舌を吸い上げながら、どろどろの咥内を掻き回す。

「ッンぅ゛っア、ッふあ、アッンん゛ぅうー……っ!」

 がく、がく、と不規則に旭陽の腰が痙攣している。
 逃げることも忘れたのか、いつの間にか逞しい腕が首元に絡み付いてきていた。

 震える腕に抱き付かれながら、甘い唾液を喉の奥へ流し込んでいく。
 粘膜が擦れ合う音がひっきりなしに耳を打った。
 力の入っていない下肢が押し付けられて、俺よりも太い足が絡み付いてくる。

 がり、と血が出ないぎりぎりの力で舌腹に歯を食い込ませた。

「ッぁヒぃっ!」

 深く絡め合っていた舌が解けるだけの力で、旭陽が背を仰け反らせた。
 跳ねた頭が後方に垂れる。

 ひゅうひゅうと碌に酸素を取り込めていない、呼吸未満の音を喉から絞り出していた。
 完全に力が抜けた体は、今や俺の腕一本に体重を預け切っている。

「――旭陽」

 名前を呼ぶと、仰け反って見えなかった頭が僅かに持ち上がった。
 唇の端から真っ赤な舌が垂れて、ぶるぶると震えている。

「ッぁ……ふ、ぁ…………っ」

 とろとろに蕩けた黄金は、淫靡な熱に染まり切っていた。
 どきりと胸が脈打つ。
 唾液まみれの唇が、俺の視線を受けてはくはくと動いた。

「っぁ…………と、……っ」
「――――な、なに?」

 言葉にならない声で、俺の名前を呼んで。その後にも、何か囁いている。
 勝手に喉が鳴るのを自覚しながら、上擦った声で尋ね返した。

 もう一度、てらてらと光る唇が動く。

「も…………っと、ぉ……シ、て……?」

 ふにゃふにゃの唇を淫靡に歪めて、旭陽が蕩け切った笑みを浮かべた。
 淫欲一色に染まった瞳は、俺の目がおかしいのでなければとても幸せそうだ。
 惹き込まれるように吸い寄せられて、再び柔らかな唇を塞いでいた。
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