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第五章 呪いが解けるまで楽しむ予定です

詳しく聞いてみることにした

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 神獣様は察して、その場に腹這いになる。

「ここは、魔物が出ないから大丈夫だ」

 うん、まぁ……魔物は出ないよね。魔物も毒にヤラれてしまうもの。ある意味、セーフティエリアと言えるのかな? 微妙だわ。言えるのは、特定の者たちにとってだけね。

 それにしても、今世の魔王様って結構エグいよね。容赦ないっていうか、無駄が嫌いっていうか……隠し通路を偶然見付けて、命からがら飛び込んだら、ヒドラの毒霧って。逃がす気、さらさらないよね。

「だったら、始めから入らぬことよ」

 ウッ!! グサッと突き刺さるわ、神獣様のお言葉。顔を引つらせながら、私はポツリと小さな声で同意した。

「……うん。そうですね」

「ちと早いが、休憩にするか。それで、何が訊きたい?」

 神獣様から振ってくれた。

「呪いが思いの外早く解かれるとは、どういう意味でしょうか?」

 神獣様は、小さく「うむ」と頷くと、私にしっかりと視線を向け尋ねた。

「ゼリアス様から、呪いについて、どう訊いておる?」

「あまり詳しいことは……」

 正直に答えた。

「そうか……全く。肝心なことは我に丸投げか……」

 神獣様は視線を下に向け、大きな溜め息を吐いてから、再度私に視線を合わした。

「あの糞女神が、そもそも古来の神だということは理解しているな」

「はい」

 それゆえ、厄介な神だった。

 人が生まれし頃から、愛は存在していたからね。その想いに名称が付かないまでも。そして、その想いは、人が人である限り色々な形で持ち続ける。今もーー。

「よいか。本来、神は人には干渉しない。したら、切がないからな。ゆえに、何もしない。基本、放置だ。しかし、マリエールとカインは特例だ。ゼリアス様の使徒であるが、それ以前に神の被害者だからな。とはいえ、古来神の呪いを完全に解除するのは、創世神であるゼリアス様でも難しい。全てはできぬだろう。……そう、悲観するな、マリエール。すでに、三分の二は解除できておる。問題は、残りの三分の一だ」

 思いもしない告白に、戸惑いしかなかった。

「創世神様でも無理なのですか……?」

「悲しいかな。創世神だとて、万能ではないのだ」

「では、どうやって、残りの呪いを?」

 まさか、呪いが完全に解かれることはないの? だとしたら、私は……いや、後悔はしていない。この状態だけでも、ありがたいことなのだから。十分、奇跡なのだから。

「大丈夫だ。マリエールの呪いは完全に解除できる。安心せい。そのために、我がここにおるのだから」

「どういうことですか?」

「つまり、こういうことだ。マリエールはゼリアス様の命を請けて、この地にいる。そして、我の願いを請けて、このダンジョンにいる。つまり、神からの依頼を請けて動いているのだ。いいか、そこが重要だ。それは、徳となってマリエール自身に返ってくる。その徳を、そのまま呪い解除に使う」

「なら、こうしている時点で、私は徳を積み重ねているのですか?」

「そうだ。我の依頼は旧友に会う時点で加算される」

「…………ありがとうございます」

 声が震えた。胸が熱くなった。目頭が熱くなった。せきを切ったかのように、涙が溢れ出た。ほんと、恥ずかしいわね。でも、思いと裏腹に涙は止まらない。

 神獣様は私が落ち着くまで、何も言わずそっと寄り添ってくれた。腕や足に伝わってくる温度は気持ちと同じで、とてもとても温かった。



 
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