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第五章 呪いが解けるまで楽しむ予定です

外れてもいいの

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 考えるって決めたけど、それは今じゃなくてもいいよね。おいおいでいいと思う。すぐに決断できる内容じゃないし。それまでは、神獣様と一緒にあっちこっち旅するのもいいかな。でも、神獣様にとったら迷惑かも。神獣様に迷惑がられるのは嫌だし……嫌われたくないし……一人で、旅するのもありかな。

「……マリエールは、ほんに間抜けよのう」

 何故か、魔王様から可哀想な娘を見る目で見られている。

「私が間抜けですか……初めて言われましたわ」

 反対の評価ばかりだったので、少し新鮮かな。

「儂らが、心の声を聞くことができるのは理解しておるのだろ」

「はい。理解はしていますわ」

 内心、かなり複雑ですけど。でも、読まれて困ることなんて考えてないから大丈夫。

「そうか……ならば、もうよい。苦労するな、神獣」

 首を傾げる私に、魔王様は途中で溜め息を吐くと話を止めてしまった。

「途中で止めるのは止めてください、魔王様。とても、気になりますわ」

 詰め寄ると、さらに可哀想な目で見られた。

「変な方に誘導するな、魔王。マリエールは人としての幸せを、ようやく手に入れれるのだ。我はそれを応援したいだけだ」

 誘導? 神獣様が何を言ってるかわからないけど、神獣様が私のことを想い考えてくれてるのは伝わった。とても嬉しい。

「応援のう……そうしているうちに、横から盗られても知らぬぞ」

 盗られる? 誰に?

「マリエールが決めることだ」

 神獣様の口調は険しい。

「難儀なものよ」

 魔王様は苦笑しながらも、神獣様を労っているのがわかった。

 私が決めること? 意味がわからない。何を決めるの?

 私の疑問に魔王様も神獣様も答えてはくれなかった。話題自体が終わってしまったからね。それにしても、魔王様と神獣様って本当に仲良しだわ。私も……

「マリエール」

 神獣様が私の名前を呼ぶ。思考が中断した。

「神獣様?」

「ゆっくりと自分の未来を考えればよい。時間はたっぷりとあるのだからな」

 神獣様の温かい言葉に私は微笑む。

 自分の未来か……人に敷かれたレールじゃなくて、自分で決めてもいいの?

 糞女神を倒した後も、私の未来は敷かれたレールの上を歩いてた。

 神獣様や魔王様といるこの時間は、休憩所で休んでるだけに過ぎない。ベンチに座ってて、立ったら、またレールの上を歩く。考えようって思っていたのも、あくまでレール上でのこと。でも、神獣様がいう考えは、レールから外れてもいいんじゃないかってことだよね。

 そんなこと、許されるの……

 そんな夢を抱いてもいいの……

 わからない。だけど、そんな夢を抱いてもいいかもしれない。少なくても、この休憩時間の間はいいよね。

 ふと、視線を感じた。

 いつの間にか立ち止まっていた私に文句を言うことなく、神獣様と魔王様が私を待ってくれている。全身が温かく優しいものに包まれたような気がした。

「神獣様、魔王様、今がとても幸せです」

 満面な笑みを浮かべながら、私は駆け寄った。






 
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