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第三章 打倒、赤ずきん

44話 祭典の終わり

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「それでは皆様、こちらへどうぞ」
 スタッフによって“関係者以外立入禁止”の扉の中へと案内される。

 その中は一見、バイトの休憩部屋の様だった。しかし、壁の1か所だけ不気味に黒い幕のようなものが掛かっており、あれは何だろうと思いながらもソファへ座るよう指示される。

 私たちが素直にソファへ座ると、スタッフはその黒い幕の中へと入っていってしまった。黒い幕はスタッフの通った箇所を中心に波紋ができていた。とてもこの世の技術とは思えない。

 そして再びその黒い幕に波紋が起こり、出てきた人物に陽翔さんが驚愕する事になる。

「皆さん、祭典お疲れ様でした」
 若い男性が優しい笑みを浮かべてその幕から出てくる。
 あれ、ちょっと待って……この人どことなく陽翔さんに似て……。

郁弥ふみや! お前……郁弥じゃないか……」
 陽翔さんが目を真ん丸にしてそう叫ぶ。
「やっぱり弟さん!? 似てると思った!」
 私もそう叫ぶと、空悟さんも瑠斗君も「えっ!?」と驚きの表情を浮かべた。

「兄さん、心配かけてごめんね。後、僕を追って参加してくれたんだよね。ありがとう」
 郁弥さんはソファに座り、ゆっくりと頭を下げた。
「いや、無事ならそれで良いんだ……ってっきり死んだものだと……」

「……僕のことはひとまず置いといて、まずはこの祭典の精算からしよう」
「精算?」
 と、陽翔さん。
「結果発表……とでも言おうか。今年はなんと5人もの生還者が出た。これは過去最高の記録だ。よって審議の結果、報酬額を倍の1億2000万円にする事が決まった」

「1億2000万!?」
 皆で揃って発狂する。

「これを君ら4人で分配して、1人3000万と言うことになる」
「4人……? さっき生還者は5人だって……」
 私はてっきりきららにも分配されるものだと思ってそう尋ねた。

「確かに生き残ったのは5人だけど、金田きららはただ生き残っただけで、どのヴィランの鎮魂にも携わっていない。それは、身体を生贄として捧げたとは言えず、契約書の第2条の項目に違反する。言わば“契約不履行”なんだ」
「なるほど……」

「じゃぁ、彼女はこのまま報酬を受け取らずに帰ることになるのか?」
 と、陽翔さん。
「そうだね。ただ、このままではなく、彼女はどこの国にも属していない無人島へ返す。まぁ、世間一般には“行方不明”という扱いになるだろうね」

「マジか……。まさか俺らも無人島に返されるんじゃ……?」
 と、空悟さん。
「いやいや、君らは立派に祭典をやり遂げてくれた。そんな扱いにはならないよ。さて……報酬の3000万だけど、寄付の先をそれぞれ指定してほしい」

「寄付!?」
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