十楽
万治三年、如月の吉原。大見世・三浦屋の最高位の遊女、高尾太夫を「頂戴する」という盗賊「かすめ屋十楽」からの予告状により、街は騒然としていた。周囲の制止を押し切り決行された花魁道中だったが、八文字を踏んでいた高尾は偽物、実は変装した十楽本人であった。十楽はお吉、半四郎、松六ら仲間の手助けで捕り手を翻弄し、本物の高尾を連れ出すことに成功する。
潜伏先の盗人宿で、高尾は十楽と自分が初代高尾を母に持つ「双子の兄妹」であると明かす。そこへ実父である吉原の元惣名主・庄司甚右衛門も合流するが、現惣名主にして最凶の忍び・庄司甚之丞が白装束の密偵を率いて急襲。高尾は仲間を救うため自ら人質となり、父と共に連れ去られる。十楽を庇ったお吉はクナイに倒れ、深手を負ってしまう。
黒幕は幕府の最高権力者、老中・松平伊豆守信綱であった。高尾の祖母は二代将軍秀忠の娘・千姫であり、彼女には徳川と豊臣の血脈が流れていた。信綱は高尾を己の息子・輝綱と娶らせ、我が家系から次代の将軍を誕生させるという野望を抱いていた。
妹と父を奪われた十楽は、高尾に深く惚れ込んでいる仙台藩主・伊達綱宗と西田屋で出会い、共に彼女を救うため意気投合する。信綱の刺客を退けた二人は、信綱の貸座敷へ乗り込むが、息子の輝綱から「高尾と甚右衛門は本妙寺にいる」と告げられる。しかし、本妙寺にいた風魔の忍びたちは、輝綱が差し向けた「前祝の酒」の毒ですでに全滅していた。輝綱は最初から忍びをトカゲの尻尾切りとし、十楽たちを別の場所で仕留める算段だったのだ。
真の決戦の地は、松平伊豆守の上屋敷であった。十楽と綱宗は上屋敷へと乗り込み、激しい死闘を繰り広げる。
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