【完結】婚約者は自称サバサバ系の幼馴染に随分とご執心らしい

冬月光輝

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第十七話

「いやー、焦りましたよ。まさか片方が痺れて、片方が眠っているなんて思いませんでした」

「まったく、お前というやつはツメが甘い」

 我が家でお酒を酌み交わす、義兄になる予定の隣国の第三王子であるアレス殿下とその護衛のケヴィンさん。
 どうやらケヴィンさんが何かをされて、危うく失敗しかけたみたいな話だそうですが……。

「あなたの国の軽薄そうな男のせいでわたくしの考えた愛憎劇が台無しになるところだったんだけど」

「だから趣味が悪いと言ったんだ。普通に制裁を加えれば良かったろ。叩けば埃しか出なかったんだから」

「普通に罰しても、せいぜい勘当されて終わりよ。ルークはそれで許せるの?」 

「絶対に許さん」

「ルーク兄様が一番、支離滅裂です」

 さらにイリーナ様や兄のルークも着席して、姉のアマンダも会話に加わりました。
 イリーナ様の考えた愛憎劇って何の話ですか? 本当に全然話が掴めません。

「いや、僕だってちゃんと見張ってましたから。不測の事態には対応出来るようにしていたんですよ。だって、ジーナさんが本当にニッグくんを殺しちゃったらヤバいだろうし」

「全然ヤバくないわよ。殺しちゃったら、それはそれで話は盛り上がったと思うわ」

「で、二人が動けくなっているのを確認して、部屋に侵入。自分が傷付けられたと見せかけたメイクの要領で心中未遂を演出した、と。……お前、男のクセにメイク道具なんて持ち歩いているのか?」

「アレス殿下は古いですね~。今はガンガン男だって化粧くらいしますよ。じゃないとこんなにモテません」

 に、ニッグとジーナが心中未遂!?  
 それを演出したってどういうことですか?
 知らないうちに、身内の皆さんがとんでもないことをしていらっしゃる――それには薄々気付いていましたが、思った以上の話みたいです。

「まずはルーク兄様がニッグの人間関係を洗ったんですよね」

「大したことはしてないぞ。ちょっとしたコネを使って、貴族界隈の裏との繋がりを一斉に検挙しただけだ。あとは軽く尋問をして、さっさと終わらせた」

「三日三晩寝ないで、憲兵たちを指揮して王都の治安を浄化した英雄だとお父様に褒められて良かったわね。ルークを娘の夫にして正解だったとお父様ベタ褒めだったわよ。動機は知らないみたいだったけど」

 何をされているんですか。ルークお兄様。
 裏との繋がりのある貴族を一斉に検挙って、ニッグの人間関係を洗うだけのためにそんなことを。


「チンピラがエルザちゃんを狙ってきてたけど、それは私の優秀な護衛が処理したわよ」  

「優秀な、の部分で僕を見ないでくださいよ……」

「ついでに何人かでニッグを見張らせたわ。わざと視線に気付かれるように、ちょっとずつ悪戯をさせてね。……精神的に追い詰められたと思うわぁ」

「イリーナ、悪い顔をしているぞ」

 そういえば、舞踏会に誘ったとき……ニッグは誰かに殺されると怯えていたような。
 それって、イリーナ様がずっと部下に見張りをさせていたことが原因ってことですか……。

「これで、ニッグを孤立させることが出来た」

「わたくしのシナリオも半分消化といったところでしょう」

 イリーナ様は笑い、ここまでが半分と言いました。
 そこから、ニッグとジーナの心中未遂を起こすという荒唐無稽にどうやってたどり着いたのでしょう――。
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