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聖女としての働き

1.ダメ聖女

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聖女のお披露目の夜会からひと月が過ぎていた。

王家には神官宮から抗議をしたそうで、国王から謝罪の手紙が届いていた。
それについてこちらから返事はしなかったが、
神官宮からは夜会で起きた出来事と国王からの謝罪をすべてコピーして、
この国の貴族すべてに送り付けたらしい。

つまり、国王と王妃がやらかしちゃったよ。
ということを全部隠さずに公表したと。
これによって、国王と王妃はかなり立場が悪くなったそうだ。
同じようにやらかしたダニエル王子はもっと立場が悪く、
王妃と共に謹慎処分にされている。

もっとも、王妃は仕事をしていないし、ダニエル王子も王太子ではないので、
まだ王子としての仕事もそれほどなかったらしい。
いなくても問題ないというのは、それこそが問題だと思うのだけど。

そしてカインさんにからみ、美里へ暴言をはいた令嬢は、
聖女を害したものとされ領地での幽閉が決まったという。
神官宮からはモンペール公爵家の所業も同じように貴族に書面で送りつけたそうだ。
また同じようなことをするものが出ないように、すべての貴族は教育し直せと、
六か国条約もつけて送ったらしい。

本来なら、ここで王家からモンペール公爵家の降爵が言い渡されるそうだが、
ひと月が過ぎてもまだ何もない。
このことにもカインさんとキリルが怒っていたが、
どうやら王家はまだやらかしそうだ。



そんなことは美里と私に直接かかわってくることは無く、
私たちはずっと聖女の修行をする日々だった。

美里は二週間前に神力を制御できるようになり、
今は私とは別な場所で聖女の修行をしている。
神力を剣に付加する修行がうまくいけば、神剣を作る仕事をするそうだ。

…私はと言えば、あいかわらず神力を蛇たちに吸われ続けていた。


「……もう、無理なのかな。」

「無理ではないよ?ちゃんと成長しているし。
 ユウリが生みだす神力は最初に比べてかなり大きくなったし、
 神力への変換もスムーズにできている。」

「でも、全部蛇たちが吸っちゃうんだよ!?」

「それはどうしてなんだろうな。
 このヘビたちが生きるために神力が必要なようには見えない。
 ずっと溜め込んでいるようだが、そんなことができるんだろうか?」

「どういうこと?」

「神力って、魔力の何倍も強い力なんだ。
 それを一月半も吸い続けて壊れないというのはおかしい。
 それほど強力なものなら、意味が無いとは思えないんだ。」

「意味があるのかなぁ。」

「ためしに、このままの状態で神力を剣に流してみないか?」

「このままで?」

「流すと同時にヘビたちに吸われるかもしれないが、
 もしかしたら動きが変わるかもしれないし。
 明日からはミサトたちがいる場所に行って、
 剣に付加する修行をしてみないか?
 もし、ミサトたちと一緒が嫌なら剣をもって違う場所に行こうか。」

「……ダメでも怒らない?」

「もちろん、ダメでも怒らないよ。
 あぁ、そうだ。この場所なんだけど、最初の頃に聞いていたよね?
 ここは遺跡なの?って。」

「この場所?聞いたね。いつか教えるって。」

この真っ白い石の柱で囲まれた場所。
中央のステージのような白い石の床。磨かれた石は反射しそうなくらい綺麗だ。
修行するための場所なんだろうけど、最初は何かの遺跡なのかと思った。
あの時は教えられないって言ってたけど、どうしてだったんだろう?


「ここね…何の遺跡でもないんだ。」

「え?」
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