宿を閉める結婚なら、お断りします ――雪に閉ざされた宿で、公爵様と冬を越す
結婚の条件は、宿を閉めて、仲間を解雇することだった。
「私もここで働きたいんです」
領主の息子との縁談を断ったリゼは、九年間の蓄えをはたき、勤め先の小さな宿を買い取った。
ようやく手にした、自分で選んだ暮らし。
その翌朝、大雪が東の峠と西の橋を塞いでしまう。
帰れなくなった旅人は二十三人。食料は、従業員の分を合わせても十二日分。
そんな宿で金貨を差し出したのは、どこか命令慣れした客、アデルだった。
けれど、道がなければ食べ物は買いに行けない。
リゼが頼んだのは、お金の代わりに手を貸してもらうことだった。
料理はできない。桶の置き場も分からない。
それでも彼は、慣れない仕事を覚え、リゼの隣で冬を越そうとしてくれる。
一緒に食卓を整えるうちに、ただの客だったはずの人が、少しずつ特別になっていく。
だが彼の正体は、この街道への補助を続けるべきか、審査のために訪れた公爵だった。
宿を守りたいリゼと、一軒の宿だけを特別扱いできない彼。
雪が融ければ別れる二人には、好きになるだけでは越えられない隔たりがある。
この仕事も、この場所も、手放さずに恋をしていいだろうか。
雪に閉ざされた宿から始まる、不器用な公爵と女主人の、お仕事と恋の物語。
「私もここで働きたいんです」
領主の息子との縁談を断ったリゼは、九年間の蓄えをはたき、勤め先の小さな宿を買い取った。
ようやく手にした、自分で選んだ暮らし。
その翌朝、大雪が東の峠と西の橋を塞いでしまう。
帰れなくなった旅人は二十三人。食料は、従業員の分を合わせても十二日分。
そんな宿で金貨を差し出したのは、どこか命令慣れした客、アデルだった。
けれど、道がなければ食べ物は買いに行けない。
リゼが頼んだのは、お金の代わりに手を貸してもらうことだった。
料理はできない。桶の置き場も分からない。
それでも彼は、慣れない仕事を覚え、リゼの隣で冬を越そうとしてくれる。
一緒に食卓を整えるうちに、ただの客だったはずの人が、少しずつ特別になっていく。
だが彼の正体は、この街道への補助を続けるべきか、審査のために訪れた公爵だった。
宿を守りたいリゼと、一軒の宿だけを特別扱いできない彼。
雪が融ければ別れる二人には、好きになるだけでは越えられない隔たりがある。
この仕事も、この場所も、手放さずに恋をしていいだろうか。
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