僕の兄は◯◯です。

山猫

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一章

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「…で、こうなった!」


「………ほう」


帰って来て早々、目の前の席を占領した思いきや、背中に子犬系美少年を貼りつけた(誤字にあらず)バカの報告に、放課後にしては多すぎるギャラリーの視線を一心に浴びつつ相槌を打った。


馬鹿いわく、モジャ……というか今では子犬系美少年に生まれ変わった(しかも本名は冬らしい。案外普通だ)ワンころに「教室には帰りたくない」と駄々を捏ねられ、だったらこの際サボって遊びまくろうぜっーことで学校を抜け出し、今の今まで遊びきっていたと。


「なるほど、うん」


くっつくワンころを迷惑がるどころか、時折頭を撫でたりしているバカに手を伸ばし、ポンっと肩を叩いた僕は、三割増しの輝かしい笑顔で親指を突き上げた。


「フラグ建築グッジョブ」


「ん?」


理解してないバカにより笑みが深まる。自分が何を仕出かしたのか、イマイチよく理解していないようだ。


馬鹿お前、ワンころの大事な物を盗んでったんだよ。…………ホモ心という名のなぁ!!!(爆笑)


え、ホモじゃない純粋な恋心だって?……いやいやいや、そんなの聞こえが良い言い訳文句だって。【同性同士の恋=ホモ】これテストに出るから。いや、本当に常識だからこれ、腐界に住む人達の常識だから。むしろ好物です、あざーっす!


ふぅ……萌えと葛藤と心強さと…あれ、これ某名曲の歌もじってね?やべぇとりあえず落ち着け、僕。ヒッヒッフー。…………よし落ち着いた。


目の前でイチャイチャと絡むバカとワンころのせいで一瞬、腐界へと飛びかけた脳内を振り切り、至って冷静に今後の事を問い掛けた。


「仲良くなることは別に構わないけどよ、大丈夫なん? あのチワワ集団とかさ。お前にも来るんじゃないの?」


「……っ」


僕の発言にビクッと肩を震わせたワンころを見やり、確かにな…と呑気に顎をしゃくるバカ。妙に様になってるのが腹立つな。馬鹿のくせに(僻み)


しかし、こんな馬鹿でも理解は出来ているのだろう。


ワンころが変装を解き、見た目が格段と良くなったところでチワワ集団が驚いてその美しさに近付きたい、あやかりたいから許す…なんて展開は、現実では絶対ありえない。


実際に、まだこうして集まっている周囲の視線は8割の好奇心、1割の戸惑い、そして残りの敵意で形成されているのだから。



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