【完結】この謎、どう思います？ バーテンダーさん

26：予言者

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「預言者？」
「空き巣とかの警告や競馬を中てたり、しかも株価を預言なんて、預言者ですよ」
　またか。
　将兵は、学生のころから、なんでもすぐオカルトにしたがる傾向があった。
「競馬も数レースなら、たまたま勝ったのだけ送ったのかもしれないけど、一日全部ですよ」
　社会人になったのに、まだそのままなのか？
「空き巣預言のハガキもってきましたから、見てください」
　え？
　実物あるの？
　見なきゃいけないの？
　とはいえ、疑った手前断れず、ハガキと空き巣が報道されているネットニュースを表示したスマホを渡されて、渋々見た。
　表は、プリンターで社名など宛先が印刷されたシールが貼ってあり、裏には直接、空き巣についての警告文が印刷されていた。
　その消印は、ネットニュースで報じられている前日の日付。
「消えたりしない？」
　試しにフリクションペンのお尻でハガキを擦ってみたが、文字は消えなかった。
「兄は、会社辞めて、退職金をこの人に従って投資する、とか言い出して、どうしようかと」
「お待たせしました。ベイクドオムライスです」
　ローテーブルに、丸い卵焼きの皿が置かれた。
　トマトスープで炊いたチキンピラフをお好み焼きのように平たく焼き、その上に同じく平たくて丸い卵焼きを乗せている。
　ピラフは焼かれてカリカリで、卵がフワトロで、ビールが止まらないのだ。
「どうぞ、ごゆっくり」
　立ち上がったパパに、将兵が、声をかけた。
「この話、どう思います？　バーテンダーさん」
　ちょ、おま、ナニしてくれてるの！？
　慌てる私に気づかないように、パパは、小首を傾げて、少し考えた後、
「思うに、悪意、ではないでしょうか？」