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4章婚約者12歳、王子15歳

4~カミノ視点~

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さすがにやり過ぎたかなと思いながらも僕は今、とても機嫌がいい。何がきっかけかなんて僕にもわからないけれど、思ったよりも未来はよりもうまく進んでいる。

いや、歪められた未来が予定よりも大きく修正されていっていると言うべきだろうか?まあ、紙袋軍団は笑ったけどあれは悪いものではないから修正の必要はないだろう。変ではあるかもしれないけど。

まあそれはそれとして、うまく進んでいるとはいえタイムリミットまで時間はないし、早くあれをなんとかしないとアルノードの娘の精神が持たない。さて、どうしたものかな。

部屋に並ぶ誰もを写さない鏡を見ながらぱくりと好物のイチゴを食べて考えていれば光る部屋の扉。その意味は誰かが僕に会いに来たということだ。

「いいよ、入れて」

まあ、誰と聞かずとも誰かは僕にはわかっているんだけど。

「カミシロ様、お忙しいところ失礼いたします。折り入ってお話したいことが……」

そう急ぐように入ってきたのはこの国、セラント国の国王である人物。幼い頃から変わらぬ僕への臣下たる姿勢を僕は気に入っている。誰よりも信用できる人物だ。

「君の息子が僕を嗅ぎ回ってる話かな?」

だからこそ、僕は来ると知りながらもあえて黙っていた。彼が来るまで。

「さ、さすがでございます……。はい、本来なら恐れ多いこと……。まだ見極めの段階で貴方様を知るのは罪に等しい。何故、記憶が残っているかもわからないため、いかが対処すべきかと」

「まあ、原因はわからなくないんだ。彼は未来を歪める原因に一番深く関わっていたからね」

仕方ないとばかり話せば国王が表情を歪める。

「やはり、息子が生きていては……」

「はやまってはいけないよ。彼が死ねば代わりが必ず標的にされる。それを探す方が面倒だし、本来彼はまともなんだ。君の息子なんだから自信を持つといい。まだ本来の彼に戻るのは時間はかかりそうだけどね」

そう、時間がかかる。それだけにまでに間に合うかがわからない。アルノードの娘の精神が先に壊れてしまえば例え国王の息子が自分を取り戻したとしても手遅れ、取り戻した瞬間にまた歪められた自分になっていくことだろう。

「了解しました。それとあの少女は閉じ込めておくだけでよいのですか?日に日にあの少女を城の牢に入れてからスフィア嬢が弱っているのが目に見えて……」

「……確かにそこは心配だけど、あれを君の息子から離すわけにはいかない。ただでさえ時間がないからね。荒療治でもしなければ間に合う可能性が減る……だから、仕方ないんだ」

「そう、ですか。口出しをして申し訳ありません」

「いや、いいよ。僕も本当なら彼女にこれ以上苦しんでほしくないのは一緒だ」

それでも彼女は愛する人のために頑張ろうとするのだから彼が羨ましく感じる。同時に怒りも。どうしようもなかったこととはいえ、彼は幾度と彼女を苦しませ最後には泣く資格もないくせに泣いて見せたのだから。

のことだけれど。
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