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ー4月27日細かな修正ー民がとんでもないことをやらかしていた
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「なんてことしてるのー!?」
そんなトールの大声が響いたのは、一気団結する民たちを止めに行って数分後のこと。こんなときは大抵もう取り返しのつかないことを誰かが行っているとき。
「うーん、嫌な予感がするね」
トールを笑顔で私と一緒に送り出した父もあちゃあとばかりに苦笑する。私たちは自分達の領地の民がみんな好きだ。そして民たちもまた私たちを好いてくれているのがよくわかっている。その愛は強すぎるぐらいでおかげで男爵家としては税収だけで裕福なのだ。小さな領地にも関わらず民自ら余裕があるときはその分多くの税を納めようとするのだから。さらにこの中には今や領地を出て働きに出ている優秀な民の仕送りも含まれているのだから年々金額があがっている気さえしていると父とトールが言っていた。
ちなみに二人は一度も税をあげた記憶はないとのこと。まあ税をあげるどころかもらいすぎて減らしたぐらいらしい。それでも変わらないらしいけど。
まあ父はトールと相談して断っても払おうとするだろう民たちのことを理解して、余った分は村の整備などに充てたり、子供たちの遊び場を作ったり、学校を増築してみたり、新しい農具を配ってたりとそういった形で還元している。領地が発展していいことだとは思う。
さてそんな私たちの生活も担ってくれる民たちだが、たまに愛故に暴走する。それを毎回トールがなんとかして止めてくれていたが、あの叫び声を聞く限り最悪の事態は免れたようだけど一部はもう動いていた可能性がある。
多分、領地を出て働きに出た優秀なはずの民たちが。
「父上ー!た、た、大変です!」
大慌ててで戻ってきたトール。吃りながらですますをつけるときは大抵緊急事態。一体何をやらかしてしまったんだろうと落ち着いていた心臓がどくどくと緊張を帯びた動きになる。
「あー、ついに止められなかったか……なんだ?」
「皇宮に働きに出ていた民が姉様と皇帝の結婚手続きをしようとした宰相様を襲撃したようなんですー!」
「「「えええええ!?」」」
予想は外れた。最悪の事態を免れてなんかいないどころか最悪すぎる事態。さすがに宰相様を襲撃したとなれば庇えるはずもないし、スモール家の領地の民と知れば理由も理由なだけにこちらが疑われかねない。
いや、そこら辺は私たちに危害が及ばないように民たちがなんとかしてそうだけど、さすがに相手が悪すぎるとかそういうレベルじゃない。あの陛下の怒りを買わずに済むとは思えないし、真っ青にする父とトールを見る限りいい案もなさそうだ。あるはずもない。
「しかも先程の護衛たちを捕まえてしまっていて……皇宮へ乗り込むために騎士の身ぐるみを剥いで騎士と偽って皇宮に潜入する気だったみたい」
「え、仮にも皇宮の騎士を?それなりの人数いたよね?」
益々父は表情を青くする。私のためなのだろうけど、行動に躊躇いがなさすぎじゃないかな?命を捨てる行動に思えて仕方ない。
「まあ民たちは貴族授業の一環として騎士の訓練も行ってるものたちばかりだから………それにさすがに皇宮の騎士も民に命令もなくして下手に危害は加えれないだろうし……」
「よよよよし、改めて陛下と謁見して死に物狂いで土下座しにいこう!」
そう言うと父は足をがくがくしながら立ち上がった。どう考えても土下座で許される案件じゃないけれど。
「次は僕も行くよ……はぁ、短い人生だったな」
既にトールは諦めモード。もちろん自ら種を蒔いたとはいえ、領民の危機。私と母も一緒に行く以外の選択肢はない。
ということで民たちに騎士を解放させて、着いていこうとする民を宥めてから護衛を勤めてくれた騎士たちに謝罪をし、改めて馬車で皇宮へ逆戻りすることになった。
皇宮に着く頃には既に夜明け。しかし、緊張により私たちは眠くなるどころか目がさえていた。当然皇宮は宰相様への襲撃のせいだろう。帰りのときと違い慌ただしく私たちの緊張と恐怖をより強くしたのだった。
そんなトールの大声が響いたのは、一気団結する民たちを止めに行って数分後のこと。こんなときは大抵もう取り返しのつかないことを誰かが行っているとき。
「うーん、嫌な予感がするね」
トールを笑顔で私と一緒に送り出した父もあちゃあとばかりに苦笑する。私たちは自分達の領地の民がみんな好きだ。そして民たちもまた私たちを好いてくれているのがよくわかっている。その愛は強すぎるぐらいでおかげで男爵家としては税収だけで裕福なのだ。小さな領地にも関わらず民自ら余裕があるときはその分多くの税を納めようとするのだから。さらにこの中には今や領地を出て働きに出ている優秀な民の仕送りも含まれているのだから年々金額があがっている気さえしていると父とトールが言っていた。
ちなみに二人は一度も税をあげた記憶はないとのこと。まあ税をあげるどころかもらいすぎて減らしたぐらいらしい。それでも変わらないらしいけど。
まあ父はトールと相談して断っても払おうとするだろう民たちのことを理解して、余った分は村の整備などに充てたり、子供たちの遊び場を作ったり、学校を増築してみたり、新しい農具を配ってたりとそういった形で還元している。領地が発展していいことだとは思う。
さてそんな私たちの生活も担ってくれる民たちだが、たまに愛故に暴走する。それを毎回トールがなんとかして止めてくれていたが、あの叫び声を聞く限り最悪の事態は免れたようだけど一部はもう動いていた可能性がある。
多分、領地を出て働きに出た優秀なはずの民たちが。
「父上ー!た、た、大変です!」
大慌ててで戻ってきたトール。吃りながらですますをつけるときは大抵緊急事態。一体何をやらかしてしまったんだろうと落ち着いていた心臓がどくどくと緊張を帯びた動きになる。
「あー、ついに止められなかったか……なんだ?」
「皇宮に働きに出ていた民が姉様と皇帝の結婚手続きをしようとした宰相様を襲撃したようなんですー!」
「「「えええええ!?」」」
予想は外れた。最悪の事態を免れてなんかいないどころか最悪すぎる事態。さすがに宰相様を襲撃したとなれば庇えるはずもないし、スモール家の領地の民と知れば理由も理由なだけにこちらが疑われかねない。
いや、そこら辺は私たちに危害が及ばないように民たちがなんとかしてそうだけど、さすがに相手が悪すぎるとかそういうレベルじゃない。あの陛下の怒りを買わずに済むとは思えないし、真っ青にする父とトールを見る限りいい案もなさそうだ。あるはずもない。
「しかも先程の護衛たちを捕まえてしまっていて……皇宮へ乗り込むために騎士の身ぐるみを剥いで騎士と偽って皇宮に潜入する気だったみたい」
「え、仮にも皇宮の騎士を?それなりの人数いたよね?」
益々父は表情を青くする。私のためなのだろうけど、行動に躊躇いがなさすぎじゃないかな?命を捨てる行動に思えて仕方ない。
「まあ民たちは貴族授業の一環として騎士の訓練も行ってるものたちばかりだから………それにさすがに皇宮の騎士も民に命令もなくして下手に危害は加えれないだろうし……」
「よよよよし、改めて陛下と謁見して死に物狂いで土下座しにいこう!」
そう言うと父は足をがくがくしながら立ち上がった。どう考えても土下座で許される案件じゃないけれど。
「次は僕も行くよ……はぁ、短い人生だったな」
既にトールは諦めモード。もちろん自ら種を蒔いたとはいえ、領民の危機。私と母も一緒に行く以外の選択肢はない。
ということで民たちに騎士を解放させて、着いていこうとする民を宥めてから護衛を勤めてくれた騎士たちに謝罪をし、改めて馬車で皇宮へ逆戻りすることになった。
皇宮に着く頃には既に夜明け。しかし、緊張により私たちは眠くなるどころか目がさえていた。当然皇宮は宰相様への襲撃のせいだろう。帰りのときと違い慌ただしく私たちの緊張と恐怖をより強くしたのだった。
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