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第194話 炊き出し2
しおりを挟む「クレハー、代わるわよ!」
「エメレアちゃん、じゃあ、お願いしようかな」
「わ、私も替わります、理沙さん」
「あ、え、私? じゃあ、お言葉に甘えようかな」
クレハがエメレアと替わり、理沙がミリアと替わる。
「おーい、こっちだ、こっち」
ノアとエルルカといる俺は理沙とクレハを呼ぶ。
「ユキマサ君、豚汁! 私も食べてみたい」
「というか、おじーちゃんは?」
「豚汁ならたんまりあるから貰ってきな、俺もおかわり貰おうかな。後、糞爺ならロキと話してるぜ?」
「ギルドマスターと?」
「詳しく内容までは知らないが、豚汁片手に〝7年前の魔王戦争〟のことを聞かれてるみたいだ」
「前回の魔王戦争の時は私も中央連合王国アルカディアにいたし、限界超越者も不在だったみたいだからね」
「レッドリスト?」
「私もそうだけど、LV100を越えた人達をそうよぶよ」
ノアがこれまた豚汁片手に言う。
「そんな呼び方があるのか?」
「「「「「じ~」」」」」
「な、何だよ?」
「いや、何かユキマサ君のレベル気になっちゃって」
「というか、ユキマサ君は限界超越者の筈だよ」
素直に聞いてくるクレハと、確信を持って言い当ててくるノア。
「の、ノーコメントで……」
「ま、私は気にしないわよ。貴方は私より強いってことを私が認めたのだから、レベルはいくつでもいいわ」
エルルカがすり寄って来る。
だから、そうすると爆発的なまでのいい匂いが……
「というか、誰! その美人!」
「理沙、こいつはエルルカだ」
「エルルカって、六魔導士の!?」
「ああ、てか、よく知ってたな」
「最低限の知識はおじーちゃんから聞いてるから、そんなことより何で六魔導士の超美人がユキマサに抱きついてるわけ?」
「私がユキマサを男として好きだからよ」
ハッキリ言うエルルカ。
「「なっ!!」」
息の合うクレハと理沙。
「つーか、エルルカ、お前は聞いてなかったろうが、俺は異世界人だぞ? 3/4だけだど?」
「あら、そうなの? 別に私は構わないわ、あまり私を舐めないでくれる?」
「私も構わないよ!」
「私的には1/4異世界人ってことになるかな、別に気にしないけど」
クレハと理沙がそれぞれ言う。
「というか、ユキマサどういうつもり?」
「そうだよ、ユキマサ君ハッキリして!」
左右から理沙とクレハに引っ張られ、背後からはエルルカに抱きつかれる俺。
(ったく、どうすりゃいいんだ!?)
と、その時だ──
「ユキマサさん、豚汁が、豚汁が切れましたぁ!」
涙目のアトラが現れる。
まじか、結構量作っといた筈だぞ!
「悪い、すぐ作る」
意外に人気だったらしくあれほどあった豚汁が空だ。食堂のおにぎり製作も急ピッチで行われている。
そんな中、豚汁を作れる俺と理沙はもう一鍋作る為、理沙に野菜切りを手伝ってもらい、それらを鍋にいれ煮込み始める。
「大人気だね」
「ノアか、みたいだな、嬉しいよ」
その後、これの他にもう一鍋作り、合計鍋3つ分を作った。
*
「あー、食ったな、豚汁とおにぎりだけど」
「ユキマサ、豚汁とおにぎりバカにしてない?」
じとっとした目で理沙が見てくる。
「バカにするわけないだろ?」
「だよねー、この和食バカは」
「誰が和食バカだっ」
と、その時だ──
「すまねぇ、ギルドマスター、全部あたしの独断だ」
土下座のような体勢で謝るのは〝アーデルハイト王国〟の最大戦力である吸血鬼のフィップだ。
「どうか、顔をあげてください。今回の戦争に参加し無かったアリス王女の理由も存じてるつもりです。何よりあなた方の判断は正しい、私でも同じことをしたでしょう」
立ち膝でロキが言う。
「それでもすまない」
ギシリと歯軋りするフィップはそれでも全てが納得はいってない様子だ。
「誰?」
「知り合いだちょっと行ってくる」
首を傾げる理沙にそういい残し俺はフィップの方へ向かうのだった──
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