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第205話 勧誘2

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「つーか、何でそんな話しになってんだ? 王国魔道士団と言えば人類で最も入るのが難しい組織だろ?」

 これもミリアから聞いた。
 王国魔道士団は実力は勿論、も重視されるとのことだ。

「推薦がありましてね。今回は4名からの推薦で議題は可決されました」
「推薦!? 誰にだよ一体」

 いつの間にそんな話しになってんだ……?

「1人は現六魔導士の
・〝剣斎けんさい〟エルルカ・アーレヤスト様
2人目は同じく現六魔導士の
・〝独軍ウヌ・エクルトス〟シラセ・アヤセ様
3人目も現六魔導士の
・〝霧裂きりさき〟パンプキック・ジャック様
からの推薦です。いやぁ、現職の六魔導士から過半数である3名も推薦が出るとは余裕の可決でしたね」
「あ、あいつらか……ん? 待てよ、あと1人は誰だよ?」

 4人の推薦と言っていた。
 じゃあ、後1人は誰だ?

「あ、それは私です。この大都市エルクステンのギルドのギルドマスターとして推薦させてもらいました」
「お前かよっ!」

 まあ、でも不思議ではない。つーか、ギルドマスター直々の推薦てスゴいんじゃないか? 現職の六魔導士の推薦ていうのも凄そうだけど。

「で、どうでしょうか?」
「言っただろ? 俺はアルテナに頼まれて異世界から魔王を倒しに来ている。勧誘はありがたいが、があるからな。悪いが今回は辞退させてくれ」

「う……ド正論ですね……残念ですが、そう言われると引き下がらざるを得ませんね……はぁ……」

 渋々といった感じで引き下がるロキ。俺は「悪いな」とだけ返し、お茶をすする。

「なぁ」
「気が変わりましたか!」

「いや、優柔不断かよ? お前意外とポジティブだな」
「それぐらい前向きでないとギルドマスター何てやってられませんよ」

 やれやれとばかりに手をひらひらと振るロキ。

「で、何でしょうか?」
「あ、いや、そのだな。お茶のおかわり貰えないか?」

 …………しばしの沈黙が流れる。
 ロキは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている。

 そんな変なこと言ったかな俺……仕方ないじゃん。喉乾いてたし、美味しかったんだからよ!

「アハハッハハハ! いいですね! ええ、直ぐにお持ちしますよ」

 何がツボったのかロキは腹を抱えて笑い始める。
 そしてロキは笑いながらお茶のお代わりを煎れに行ってくれる──。
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