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第210話 剣鬼
しおりを挟む──オックボック・テイアは〝剣鬼〟ロゼ・ボーネスを相手に互角の戦いをしていた。
「はぁッ!」
「何の!!」
ガキン、ガキンと金属音が鳴る。
「何だあいつ! 剣鬼に張り合ってるぞ!」
「人間か!」
試験を受けてる約7割がエルフという事もあり、オックボックは嫌でも目立っていた。
「あの人間に続けェ! 遅れをとるなぁ!」
「「「「「「了解!」」」」」」
この試験では兵士候補生同士での戦いも、他者の蹴落としという面では無いわけじゃなかったが、イマイチ、利点としては弱かった。
正直、全員で試験官であるロゼを狙った方が効率が良い。何せロゼを倒せればその時点で生き残ってる全員が合格となるのだ。
「《爆ぜろ! 炎の獅子》──〝炎獅子〟!」
オックボックの魔法の炎で出来た獅子がロゼを襲う。
「見事な魔法だ」
「恐縮です」
タンッと地面を踏み込み、魔法の死角からオックボックはロゼに斬りかかる!
だが、まるで背中に目でも付いてるかのように、完全に死角からの攻撃をロゼは剣で受け止める。
「これでもダメか……」
「狙いはよかったよ?」
ドバン! と、掌底が撃ち込まれる!
「ガハッ!」
勢いよく後方にオックボックは吹き飛ばされる。
「はぁぁ!」
次の瞬間、鎧に身を包んだ兵士がロゼに斬りかかる。だが、あっさりと受け止められ、拳を貰う。
「ゲフッ」
鎧に身を包んでる筈なのに衝撃波のような痛みが全身を襲う。
でも、少年は倒れなかった。気力だけで踏ん張る。
「ふむ、今年は骨のあるやつが多いな」
すると少年を無視して、ロゼは高速で走り出す。
「ど、どこへ!?」
「お主ばかり相手もしてられん。ただの逃げ延びで合格されても困るからな」
「待ってください!」
だが、ロゼは待たない。
「畜生、僕だってやられっぱなしで合格しても納得いかないんだ! そんなことの為に田舎から出てきたんじゃない!」
「うわぁぁ!」
「クソッ、逃げ続けてれば合格できると思ってたのに、作戦が台無しだ!」
「早ぇぇ、目で追えねぇ!」
「《古の矢よ・雨となり降り注げ》──矢の雨!」
ロゼの広範囲の魔法攻撃だ。空に巨大な魔法陣が展開され、無数の矢が兵を襲う。
──それから約3時間後、数百人いた兵の内、立っていれたのは僅か50名ほどだった。
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