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第228話 花嫁泥棒
しおりを挟む「エルフの国の精鋭か──面倒だな?」
〝星艦〟〝雷光〟〝剣鬼〟──
エルフの国のトップ3を一気に相手にすることになる。しかも相手は容赦なく殺しにかかってきている。
対するこちらはフォルタニアをお姫様抱っこの状態だ。
「ユキマサ様、私は大丈夫です。私を置いて逃げてください、ユキマサ様一人ならきっと逃げきれます!」
「バカ言え、こんな場所にお前を置いていけるか! つーか、俺は今、賊らしいぜ? ハハッ! しかも世にも卑劣な花嫁泥棒だ──言っておくが、フォルタニア、悪いが俺は、お前を拐うと心に決めている。残念ながら、ここに残る事は徹頭徹尾、諦めるんだな?」
──っと……そんなことを言ってると、アルタイルが剣を構え、魔法を唱え、俺に向かってくる。
「合わせろ、ベガ、ロゼ! フォルタニア様を奪還するんだ! その男は殺す気で行け!!」
「「了解!!」」
「来な? それと忠告だ、世にも恐ろしい花嫁泥棒様を相手なんだ。手加減は期待するなよ──社畜共?」
──ドンッ!!!!
その場で俺は地面を魔力を纏った足で、強く叩きつける! 俺の足元を中心に衝撃波が走り、地面を砕きクレーターを作りながら、此方に向かってきていた、アルタイル、ベガ、ロゼを纏めて吹き飛ばす──!
「結婚式の祭壇が割れたぜ? ハハッ、これで結婚式の続行不可能に、また一歩近づいたな?」
次に俺は〝アイテムストレージ〟から〝魔力銃〟を取り出し、早撃ちをする──刹那の瞬間に放たれた〝魔力弾〟が三名を追撃する!
だが、この魔力弾は防がれる。
すると、ビリビリ、ビリビリ。
雷のような音が俺の上空で響く。
「──覚悟ッ!! 雷刹!!」
ベガが叫ぶ。
「悪いな、フォルタニア、少し我慢してくれ」
俺はフォルタニアを、お姫様抱っこから、左手だけで持ちかえ、通常の抱っこのような体勢になる。
そして右腕は〝アイテムストレージ〟の応用で〝魔力銃〟から〝月夜〟に変更する。
そのまま魔力を強く込め、斬撃を飛ばし、魔法ごとベガを斬る!! 咄嗟にベガは魔力を全身に纏い攻撃を受けるが、無傷では済まない!
ドカドカドカと音を立て、辺りの椅子やテーブルを壊しながら、後方に大きく吹き飛ばされる。
(あーあ、折角の食事が……勿体ねぇ事したな。だが、今ばかりは勘弁だぜ──悪いな)
「はぁぁ!!」
〝剣鬼〟が斬りかかって来る。その動きには無駄がない、剣への魔力の込め方も絶妙だ──
だが……
「へぇ、こんな物か──」
バシ、ガシ、ギン。
俺は〝剣鬼〟の攻撃を最低限の動作で受け流す。
「なッ!?」
〝剣鬼〟は流される自分の攻撃を見て「ば、バカな」と、驚きを露にしながら目を見開く──
「もう十分だ」
その場で俺はくるりと半回転しながら、
──トン、と〝剣鬼〟の横腹を蹴る。
すると、数秒遅れて、ドバン!!!! と、衝撃波が走り──〝剣鬼〟を吹き飛ばす!!
〝剣鬼〟は強い、強いけどだ……正直な所、以前軽く手合わせした、本気を出してはいないエルルカの方が一回りも二回りも強かった。
「ユキマサ様ッ!!」
フォルタニアが叫ぶ。
その視線の先には……
「時間稼ぎ──御苦労、終わりだ〝黒い変態〟!!」
アルタイルが両手を前に翳しており、まあ、如何にも、大魔法を撃ちますよ? とばかりの、宮殿の床から高い天井まで届きそうな程の、バカみたいにデカい〝魔法陣〟が、俺の方へと向けられていた──。
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