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第260話 黒vs黒8
しおりを挟む俺は家一軒分ぐらいの大きさの、魔法弾への対処を考える。
ほんの数秒、対処方法を考えてると──
円弾が急加速する!
弾の後ろから、ビリヤードみたいに棒で玉を突いたかのような加速ぶりだ。
急な加速に俺は月夜で受け止めることしかできなかった。剣で庇った、その威力の反動で──
──ドガン!!
勢いよく俺は地面に落とされる。
ミキサー弾の身体への直撃は避けられたが、変わりに大きな反動を受けた。だが……
──バンッ!!
撃ち落とされた俺は、直ぐに体制を立て直し、地面を強く踏み込み、跳び上がると上空へと戻る。
「今のは痛かったぜ?」
とうやらあの円弾はウルスラが自由に動かせるらしく──俺を撃ち落とした後、ウルスラの近くに戻り、ゆらゆらと浮遊している。
俺が地面から跳躍して飛び出すと、またもやその円弾を、こちらへ向かわせてくる。
「二度は食らわねぇよ」
俺は剣を構え、魔法を使う!
「〝四篩・創天覇紋刃〟!」
四撃の飛ぶ斬撃がウルスラの円弾を斬り裂き、斬撃の余波がウルスラの胴体に迫る!
「──GUGYAAAAAAAAAAA!!」
ウルスラが全身に雷を纏う。眩しっ!
だが、それより俺が驚いたのは──
は? 避けたッ!?
避けた、避けたのだ。ウルスラが俺の放った斬撃を、巨大な蛇型の体をくねらせて、見事な迄に。
ウルスラの巨大な体が動く。
ただそれだけで突風が辺りに吹く。
雷を纏ったウルスラが真っ直ぐに此方に進んでくる。突進かと思ったが違う──俺から距離100m先ぐらいから、咆哮を上げ、辺り一帯に雷を放ってくる。
被害は甚大だ。咄嗟に俺は魔力を纏い自身を守ったが、俺の下にあった森の一部が円形に跡形もなく消し飛ぶ。あーあ、この一瞬で自然破壊この上ないな。
俺は魔法陣を展開する。まあ、足場なんだけど。
魔法陣を足場にし、加速──そこからウルスラに向かい剣を構える。
すれ違い様、ウルスラの左目を斬る!
「──GUGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
そのままの勢いでウルスラの頭上に移動する。
ぐるぐると螺旋を描き、俺は更に上に昇って行きながら──月夜に魔力を強く強く全力で注ぎ込み──
ドンッ!! と、ウルスラに向かい急降下する!!
「──〝極黒・終焉鬼王斬〟!!!!」
一撃必殺、正にそんな言葉が似合う威力だった。
辺り一帯に集中爆撃のような爆音を轟かせ、雷と魔力障壁を体に纏い、硬い鱗で全身を覆ったウルスラに真上から斬りかかり、撃ち落とした。
それでも尚、真っ二つまでウルスラが斬れなかったのは、体の芯に魔力を集め、限界まで防御に徹していたからだ。
だが、体の半分は無惨に斬れている。骨まで達した、その威力は致命傷には十分だった。
加えて斬撃の余波で地面に大きく叩きつけられ〝シルフディート〟の森には巨大なクレーターができ、その爪痕は小さくない。
エルフの国に砂嵐のように吹き荒れた粉塵と共に、黒vs黒の戦いは、エルフの国に歴史的甚大な被害を出して、こうして幕を閉じた──。
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