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第277話 帰路7
しおりを挟むアップルパイをペロリと完食した俺は次の屋台に移動し、赤羊のケバブを頼む。
ちなみにフォルタニアは「私に気にせず、ユキマサ様の好きに回ってください」と言いながら、アップルパイをもぐもぐと食べながら付いてきてくれている。
「ケバブ、久しぶりに食ったな」
いや、羊のラム肉は初めてか。
クセもなく柔らかくて美味いぞ。
「ユキマサ様の世界にもあったのですか?」
「ああ、ケバブ自体はな? 色々とこの世界と共通する食材や料理は結構あるぞ? まあ、異世界独自の物のが多いけどな」
ケバブ自体は日本というか、元いた世界でもあったが、赤羊というのは聞いたこと無いしな? これも異世界独自の食べ物と言えばそうなるのだろう──
よし、次の屋台!
「お、串焼きだ。全部、一本ずつ頼む」
空豚のカシラと豚バラ、縞牛のタン、アスパラと刺豚のベーコン、ニンニク鳥の串焼き。
ふむふむ、実に美味そうだ。
「空豚って、初めて聞くが……もしかして、異世界だと、ぶ、豚が空を飛ぶのか?」
「え? 飛びますけど。飛ばないんですか豚?」
……いやいや、飛んでたまるか!
「豚は飛ばないな。煽てりゃ木には登るらしいが」
空飛ぶ豚か……シュールだな。
群れで出たらどうしよう。
まあ、切り刻んで〝アイテムストレージ〟だな。
その後、串焼き両手に歩き進んで行くと、クレープ屋を発見する。
「フォルタニア、クレー……」
プ。食うか? と、聞こうとしたら──
キラキラ、キラキラ。と、まるで絵に描いたような、トランペットを見つめる少年みたく、ただでさえ綺麗な目を更に綺麗に輝かせる、濃い緑のローブ姿のフォルタニアの姿があった。
「あー、フォルタニア、どれ食う?」
「ハッ! す、すいません。つい……ごくり」
いや、絶対好きじゃん。クレープ。
フォルタニアも女の子だなぁ……
「食べたいって、顔に書いてあるぞ?」
「う……食べたいです。シンデレラストロベリーにミステリアスチョコレートをトッピングで王様クリームのホイップを増し増しの増しで1つお願いします」
「オーケー、えーと……何だって?」
思いの外、予想外の注文が来て少しパニくる。
記憶を追え、俺ならこれぐらいできる筈だ。
「シンデレラストロベリーにミステリアスチョコレートをトッピングで王様クリームのホイップを増し増しの増しで……えーと、2つ頼む──」
ほう、という目で店員のお姉さんに見られた。
ヤベ、何か間違ってたかな?
かしこまりました。と、一別した店員のお姉さんは、そそくさとクレープを焼き始めた。
まあ、もう頼んだんだし、取り敢えず待つか。
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