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第301話 謝罪

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「な、何で、貴方がここにいるのよ?」

 数日ぶりに見るエメレアは驚いた様子の声で話す。

「お前らを探してたんだよ」
「私たちを? というか、あの手配書は何?」

 ちょっと来なさい──と、エメレアに手を引かれ、俺は店の外に出る。
 辺りはすっかりと夜だ。綺麗な月も出てる。

「おい、どこまでいく?」
「貴方がお尋ね者のせいでしょ?」

 着いた場所は人気の無い路地裏だ。
 ここなら人は来ないわね。と、言ったエメレアは俺に向き合う。やべ、怒られる!!

「本当にごめんなさい」
「は?」

 素で返事を返してしまった。
 怒られると思ってたら逆に謝られた。

「私のせいよ。貴方の悪評が広まったのは」
「?? !? あー、何だ? 〝黒い変態〟の奴か? 確かに〝シルフディート〟まで轟いていたが、俺の指名手配とは別件だぞ? お前のせいじゃない」

「……その、聞いてない? 貴方の〝黒い変態〟の異名が今、じわじわと注目されてる──エルルカさんの付き人のリュセルさんから〝精神疎通テレパス〟で聞いたのだけど〝六魔導士〟の〝仙極せんごく〟が動いたわ。その……性犯罪とか絶対に許せない人よ──〝仙極〟は」

 本当に申し訳ないと思ってるのか、今のエメレアにはいつもの俺を責めるような姿勢は無い。

 つーか、ノアの話だと、その〝仙極〟って奴はレベル100越えの〝限界超越者レッドリスト〟だぞ!?
 俺、そんなのに性犯罪者認識で追われてるのか?

「あのなぁ……まあいい。どの道、追われる運命だ」
「まあいいって、貴方、自分が誰に追われてるか分かってるの!? そんな簡単な話じゃないわよ!」

 焦るエメレアの目はとても真剣な眼差しだ。
 まるで自分の事のように。

「何だ、心配してくれてるのか?」
「心配。ええ、心配よ。それに罪悪感で自分が押し潰されそうだわ、ごめんなさい。本当にごめんなさい」

 顔が蒼白だ。真っ青になったエメレアはガクガクと震え、額からは少なくない量の汗を流している。

「あ、おい。顔が真っ青だぞ? らしくねぇな?」
「あなた似てるのよ。──」

 震える声で呟いたエメレアは泣きそうな目で俺を見る。何だ、何なんだよ、その目は……調子狂うな。

「お前の兄さん? 似てる? 話が見えないな」

 俺を〝黒い変態〟と呼んだ事と何が関係ある。

「何か理由があるなら話せ、ちゃんと聞くから」
「……分かったわ……私の兄さんの話から全部話す……言っとくけど……この話はミリアにだって話したこと無いんだからね……」

 呼吸が荒い。これは──トラウマか?

「おい、無理にじゃなくていいぞ!?」
「いいの、聞いて。貴方に聞いてほしい」

 そう言うと、エメレアは重い口を開く。
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