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第332話 告げられる真実

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「何で何で、本物!? エメレアちゃん! 本当に会いたかったよ! 私たちのこと覚えてる!?」

 キャー! と、テンション高めにキサラギさんが私に抱きついてくる。

「き、キサラギさぁぁん! え、嘘! 私も会いたかったです! いっぱいお礼もお話もしたくて!」

 対する私もテンションが上がる。手を取りピョンピョンと跳ねる。
 私をこの街まで連れてきてくれた大恩人だ。
 この人たちがいなければクレハやミリア、システィア姉さんにお婆ちゃんに出会えることは無かった。

「て、隣、トアの娘のミリアちゃんじゃねぇか?」

 キサラギさんの後ろにいた、茶髪に髭の中年男性エルバさんがミリアに声をかける。

「え?」

 一瞬の言葉に私は頭が追い付かない。
 ……どういうこと?

(トアってミリアのお父さんの名前の筈。何で、エルバさんがミリアのお父さんを知ってるの──?)

「エメレア、この人たち私のお父さんの冒険者パーティーの人だよ? エメレア、知り合い?」

 ミリアも不思議そうにしている。
 対する私は無言で状況を整理し考える。

「あ……」

 ポツリと声が漏れた。
 蚊の鳴くかのような小さな声だ。

「キサラギさん、リーダーさんやシュナさん達は何処にいますか? 私、会いたい、です」

 最後の方はカタコトになってしまった。
 聞く前に分かってしまったからだ。最悪の答えに。

 リーダーさん、優しいリーダーさん。私が名前を忘れてしまっていたあの人は──

「エメレアちゃん、トアもシュナも亡くなったわ。かれこれ、もう6年になるかしらね。今の〝吟遊詩人バラッド〟は、ここにいる私たちの5人だけなの」

 うわぁ……うわぁ……ああぁぁ……

「エメレア、だ、大丈夫……!?」

 心配そうに私を見るミリア。
 声がでない、私は混乱している。

「エメレアちゃん、シュナとは特に仲が良かったものね。あの子もあの後、凄く心配していたわ」
 
 膝を尽く私をキサラギさんが受け止めてくれる。

「ごめんね、ミリア、私がちゃんと話してれば」

 ミリアには私の過去は話していない。
 話さなかった。暗いことばかりだったから。

「ううん、大丈夫だよ。エメレア、汗凄いよ、汗拭いて」

 いつも通りの優しいミリアに私は感謝する。
 ミリアは優しい。泣いちゃうぐらい優しい。
 その優しさの背後に今はリーダーさんの面影がやけにちらつく。あの人も本当に優しかった。
 
「ミリアちゃん、久しぶり、私たちのこと、覚えててくれたみたいだね」
「こ、こんばんはございます……! お、お世話になってましゅ……す!」

「積もる話もありそうだし。私たちもエメレアちゃんにがあるんだ──ちょっと、場所、変えよっか? 二人とも、ご飯は食べた?」

 ポンポンと、私の肩を優しく叩いたキサラギさんは「すぐそこの料理屋にでもどう?」と、指を差す。
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