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第393話 人命救助2
しおりを挟む「あ、あの! 命を助けていただいて、大変厚かましいお願いですが──
「仲間を探して欲しいか?」
「ッ!? は、はい。どうか、お願いします!」
リナちゃんの父親はガバッと頭を下げる。
「さっきから探してはいる」
ここでな? と、俺は人差し指で自分の頭をトントンと叩く──スキルで探してると言う意味だ。
「あのね、お兄さんのスキル凄いの。お父さんを見つけたのもお兄さんなんだよ」
リナちゃんが補足する。
「でも、見つからねぇんだ。あんた以外の生存者が」
人らしき反応はポツポツある。
だが、どれも生命反応は無く、生きてはいない。
「ッ──歯痒いっスね。ユキマッさんやクレハちゃんはパーペキに人を助けてるのに、俺は役立たずっス」
「ついて来ただけ立派だ。見直したぜ、チャラ男」
ッ!!
「いた、生存者だ! クレハ来てくれ」
「うん、分かった!」
その場所に着くと、クレハが〝空間移動〟を使い、瓦礫を瞬時に退かす。便利だよな、空間移動。
「ゲンガ!」
リナちゃんの父親にゲンガと呼ばれた冒険者らしい男は意識は無いが……生命反応はある。生きている。
その男も回復魔法でさっさか治し、別の行方不明者を探すが、生存者は見つからない。
代わりに遺体だが反応があったのは16人。
確かこの冒険者パーティーは20名、逃げ延びたのが2名、今しがた助けたのが2名、そして亡くなったのが16名──合計で20名とピタリと人数が一致する。
「悪いが、捜索は打ち止めだ。もう生存者はいない」
「いえ、本当にありがとうございました」
「自分も助けていただいて本当にありがとうございます。仲間達の遺体は改めて自分達が回収いたします」
リナちゃんの父親とゲンガが頭を下げて来る。
「礼ならクレハに言いな。救出と言うなら、救助活動をしたのはクレハだからな」
ありがとうございます。ありがとうございます。と、クレハにも深々と頭を下げる。
いえいえとクレハは深々と頭を下げる大人二人に苦笑いだ。畏まられ過ぎても逆に困るよな。分かる。
「リナちゃん、よかったね!」
クレハは父親の背に乗るリナちゃんに声をかける。
「はい。お陰様で。クレハさん本当にありがとうございました!」
笑うリナちゃんは本当に嬉しそうだ。
するとリナちゃんの父親とゲンガが目を見張る。
「ちゃ、チャッチャラー・グットクール……!?」
「もしや貴方がバジリスクを!?」
驚かれるチャッチャラーは両掌を上にし、お手上げみたいなポーズで溜め息混じりに返事を返す。
「いや、俺の出番は無かったッスね。バジリスク倒したのもユキマッさんっすよ。俺は意味なく傍観キメてただけのマジ役立たず。穴があったら入りたいわー」
「「……!?」」
マジか!? みたいな顔で俺をみる二人。
いや、こっち見んな。何も言ってはやらんぞ。
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