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第409話 チャッチャラー・グットクール4

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「……で、何でクレハは泣いてんだ?」

 ポロポロ、ポロポロと号泣するクレハに俺は苦笑いで声をかける。

「だって……だって……よかったあぁぁぁ……──!」

 だぁぁ──っと、クレハはアリシアにダッシュしボフりと抱きつく。いや、待て、俺とチャッチャラーが居ない間にどんだけ仲良くなってんだよ。
 アリシアもアリシアで「クレハちゃんもありがとう!」と、二人してキャッキャウフフ。
 まあ、仲が良いのはいいことじゃないか?

「コーヒー冷めちゃいましたね。俺、新しいの買ってくるっスよ!」

 冷めたコーヒーは自分で一気に飲み干し、無駄にはしないチャッチャラー。
 こういう所はしっかりしてんのな。関心関心。

「チャッチャラー君、私も行きたい。折角、目が見えるんだもの、お祭りも見て回りたいわ」

 そう笑うアリシアを見て、チャッチャラーは「ウスッ」と、綺麗な歯並びの白い歯を見せて笑い返す。

「ユキマっさん、ちょっと行って来るっス! 1時間後の祭の奉納舞踊ほうのうぶようでまた合流しやしょう!」
「あ、オイッ──!」

 別に俺たちに気を使わなくていいぞ──と、言おうとしたが、サッサと行ってしまった。
 子供みたいにハシャイで楽しそうな顔しやがって、俺の倍近い年のくせに。
(いや、笑顔に年は関係ないか。祭りなら尚更だ)

 クイ、クイ──クレハが俺の和服の袖を引っ張る。

「ユキマサ君、チャッチャラーさんの気持ち分かる?」

 チャッチャラーの気持ち? そりぁ──

「待って。嬉しいのは当たり前、どう嬉しいか?」

 難易度が上がったな。
 『私が何で怒ってるか分かる?』ぐらいの難問だ。

「……」
「はい。時間切れ。ユキマサ君、気づいてないと思うけど、あんなもんじゃないよ? 

 クレハの目は真剣だ。真っ直ぐに俺を見る。

「自分の大切な人が、病だとか怪我だとかでもう治る見込みがないって診断された時、目の前が真っ暗になって、頭の中が真っ白になる」

 嫌な汗も掻くんだ。と、クレハは続ける。

「諦めかけてたそれが一瞬で治った。本当にあれは心の底から本当の本当に夢なら覚めないでほしいぐらい嬉しい、そんな気持ちだよ。ユキマサ君がしたのは」

 これはクレハの婆さんの病気を治した時のクレハの心情も入っているのか。
 あの時は今以上にギャン泣きしてたな。

「ユキマサ君、私たちもお祭り見に行こ! ──奉納舞踊の前に何か食べとこうよ。お腹空いちゃった」
「食べ歩きだな!」

 キリッと俺は返事を返す。
 奉納舞踊の前に店を回ってやるぜ!
 勿論、目標は全制覇だ。血が騒ぐな。

「わ、思ったよりも数十倍乗り気……」
「ハハッ、まあ、祭りだからな。気分も上がるさ」

 祭り、しかも雪祭りだ。
 俺の家の近くじゃ雪祭りは無かったな。
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