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第444話 黒霊山6
しおりを挟む「ユキマサ君、ぶ、無事、大丈夫!?」
クレハが駆け寄って来る。
「俺はな。クレハはどうだ?」
「私も大丈夫だよ、ありがとう」
クレハはホッと胸を撫で下ろす。
「ユキマサ君、デュラハンは?」
「倒したよ、思いの外、強かった。手こずった」
「ユキマサ君が言うなら相当だね」
デュラハンが消えた後から、デュラハンの剣だけが残っている。ドロップアイテムか?
恐る恐るに拾ってみると、青紫色のいい剣だ。
「うわ、それドロップアイテム? 剣が落ちるなんて珍しいね。魔物が身に付けてる防具や剣は魔物が死ぬと、大体は一緒に消えちゃうもんなんだけど」
「そうなのか? デュラハンの剣か、仕事で使えば縁起は良さそうだな」
デュラハン→首無し→解雇無し
と、駄洒落の言葉遊びができる。
「俺は使わんがクレハ使うか?」
「私は剣はいいかな。短剣が主流だし」
「じゃあ〝アイテムストレージ〟に仕舞っとくか」
ということで、ヒュンと一瞬で〝アイテムストレージ〟にデュラハンの剣を仕舞う。
「さて、先に進むか」
「うん、でも辺り丸焦げだよ? 幸いここは岩山だから木が少なかったから火事にはなってないけど」
「いや、あれはデュラハンが……」
思いの外、広範囲の爆発だった。
ふと、俺は山の上を見上げる。
(──変だ、何かがおかしい)
瞬時に俺はそう判断する。
俺たちがいた後方。ここは俺が防いだから無傷であって不思議では無い。
だが、山の上の方、正確には丁度雲がかかってる部分から先だ。そこから先が全くと言っていいほどに、まるで何かで守られたかのようにダメージがない。
「クレハ、気を引き締めろ。この頂上には何かある」
「嫌な気配?」
「分からん。だが殺気も此方に気づいた様子もない」
まるで寝てるようだな。と、俺は思う。
「まあいい、行ってみれば分かる」
──山の中層はデュラハンの縄張りだったのか、下層の鎧骸骨や鎌ゴーストも現れないし、デュラハン以外の魔物も現れる気配は無い。
「ユキマサ君、ちなみにデュラハンは魔獣だよ」
「へぇ、そうなのか。確かに強かったしな」
デュラハン、ほんと何者だったんだ?
体感だが、ヒュドラの変異種より強かった。
魔法陣を展開し、足場にして、ピョンピョンと山を登っていく。
「クレハ、付いてこれるか?」
「うん、これぐらいなら全然!」
流石だ。それでも少し後方のクレハを気にしながら進む。
そして山にかかる黒雲を抜け山頂に出た時だ。2体の巨大なアヌビスが巨大な槍でこちらを攻撃してきたのは──。
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