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第449話 新たな旅の仲間
しおりを挟む「クレハー、クレハー、おーい、クレハー」
「……はっ! ゆ、ユキマサ君!?」
「どんだけフリーズしてたんだよ」
「黒芒さんだよ! あの人、危険!」
「いやまあ会ったばかりだし警戒するのは分かるが、悪い奴じゃないぞ? じゃなきゃ旅に誘わん」
「違うよ、ユキマサ君の貞操的な意味でだよ!」
顔を真っ赤にしたクレハが言う。
クレハの口から貞操なるワードが出た事に少し驚く。いや、黒芒も半ば冗談で言ってるんじゃないか?
「主様よ、妾が冗談を言ったと思ったじゃろう?」
「な、なんで分かった!?」
「ふふ、主様は天然な所があるの。よいのう。妾は好きじゃぞ。主様のそういう所」
ふふ、と笑う黒芒。それにしても、美人だなぁコイツ。多分このパターンは黒芒の年は数百歳とか何だろうが、見た目は18~20歳ぐらいにしか見えん。
まあ俺に年齢=見た目の方程式は崩壊しているが。
「話を逸らすぞ。黒芒、飯、何食いたい?」
「その口ぶりからすると妾に食事をくれるのかの?」
「衣食住は保証する。今日はお前の歓迎会だ、何が食いたい?」
「そうじゃの、肉! 肉が食べたいのう」
「何だ好物か?」
「うむ、大好物じゃ」
「クレハと同じか。お前ら仲良くなれそうじゃねぇかよ? ──よし分かった。今日は肉にしよう」
て、ことで、俺は華牛と縞牛のステーキを用意する。黒芒は腹ペコとのことで華牛1縞牛1枚の結構分厚いステーキを2枚のご所望だ。
クレハは華牛とライス、俺は縞牛とライスだ。
黒芒にもライスを勧めたが、肉は肉と調味料だけで食べたいと頑なだったので引き下がった。
「ユキマサ君、私、ごはん炊くね」
「おう、頼んだぜ!」
俺はその間に肉を焼こう。
塩コショウで下味を付けて、最初は強火で両表面を焼き、あとは弱火でじっくり焼く。タレはニンニク、醤油、酒、みりん、水で簡単に作る
──という行程をしていたら……
「妾は焼き方はレアでよいぞ」
と、直ぐ様、火から取り出してしまった。
それ両表面しか焼いてないから中はほぼ生だぞ。
レアってレベルじゃない、言うならば極レアだ。
先に食い始めるかと思いきや、しっかりとテーブルに座り待ってくれている。
そういう礼儀はあるみたいだ。
じっくり焼き、作り終えると、いざ実食。
「「いただきます」」
俺とクレハがハモる。
「悪いな、黒芒、食事の前には『いただきます』を食後は『ご馳走さま』を言ってくれ。家の家系じゃ言わないと食事は没収される」
「ふむ、主様の家系の習わしならば仕方あるまい。いただきます。これでよいかの?」
「ああ、上出来だ! さっ、食おうぜ!」
黒芒にはフォークとナイフを与えたが、これがまた綺麗なお手本のような使い方でほぼ生ステーキを食べ始めた。
「おぉ、これは美味よのう。肉を所望しこれほどの肉が出てくるとは思わんかったぞ」
満足そうな黒芒はフキンで口元を拭きながら言う。
「俺の〝アイテムストレージ〟は入ってる食材は腐らないんでな、いつも新鮮、賞味期限とはこないだ別れを告げた所だぜ?」
「はて? ──〝アイテムストレージ〟にそんな機能はあったかの?」
「それは俺のユニークスキル〝異能〟の効果だ」
『ほう?』っと、黒芒の目が輝いた気がした。
でもそれ以上は聞いてこないので話はここまでだ。
その後、俺は食後のコーヒーを飲みながら
ボーッと聞いていたのだが、食事を終え、食器の洗い物を終えたクレハが黒芒にこう言った。
「──黒芒さん、一緒にお風呂に入りませんか?」
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