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第498話 奴隷オークション11

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 奴隷が嫌いだから奴隷を辞めさせたと本心を告げたら……泣かれた。また泣かれたよ。しかも俺より3倍は年上の亜人のおっさんに。
 亜人のおっさんだけじゃない、同じく亜人のムキムキの爺さんや、若いエルフの女性、小さな〝人間ヒューマン〟の少女までススリ泣きで泣いている。
 こんなにおいおいと泣かれると反応に困るな。

「貴方様、全員に金貨を配り終えました」

 片手でシルクハットを少しクイッと華麗に動かしながら宙に浮かぶトランプが俺の横に降り立つ。

「そういや名乗ってなかったな。俺はユキマサだ」
「ユキマサ様、改めて感謝を、感謝を……」

 ポタ、ポタ……と、トランプまで泣き始めた。

「いいよ、よかったな。後、泣くなとは言わねぇが、今は引っ込めといてくれ。少し時間がない」

 ──嫌な予感がする。早くここを離れた方がいい。

「で、取り敢えずお前ら、暫くは5人ずつぐらいのパーティーを組んで暮らせ、この国を出るにしろ、単体行動は控えろ。また人攫いにでもあいたくなきゃな」

 俺の言葉を真剣に皆は聞いてくれた。
 俺は〝ステータス画面〟を見て、全員のレベルを確認し、平均的なレベルのパーティーになるように、5人ずつの計20組のパーティーを編成した。
 上は49、下は5とかのレベルだった。

 すると、1人の少女が俺に問いかけてくる。

「あ、あの、助けていただいて本当にありがとうございます。後、その……お名前をお聞きしてもいいですか?」

 少し震えた声だ。まだ俺が怖いのだろう。

「ん? ああ、どういたしまして。俺はユキマサ──稗月倖真ひえづきゆきまさだ」

 もう在庫がないので、書状は付けてやれねぇが──

「保証はできねぇが、ピンチになったら俺の名を使え。今ならそれなりには名が通る筈だ。お前たちは俺の庇護下にあると。だが悪さはするなよ。悪さをすれば、さっきお前らの鎖を壊した刃が、今度はお前らを斬らなきゃならなくなる。重々承知しとけ」

 皆は強豪校の部活か軍隊かよってぐらい大きな「「「──はいッ!!」」」の返事をした。

「今より、お前らは奴隷じゃない。晴れて、正真正銘の自由だ。まあ、また奴隷にならないよう気をつけて生きろよ。また逢おうぜ──よし、解散ッ!」

 うおおぉぉぉぉォォ!! と、歓声が響いた。
 そして『ありがとうございます!!』『いつか必ずこの恩はお返しします』『毎日願っていた神様のお導きが今日叶いました』『心からの感謝を』とか去り際に色々と言われた。
 俺はいいよとかよかったなとか返しておいた。
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