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第508話 判断

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「奴隷の解放及び、その後の奴隷だった方々の当面の生活は我々〝聖教会〟が保証いたします。どうか、この一件は私共にお任せ願えないでしょうか?」

 そう告げてくるジューリア。
 ロップイヤー少女も真剣な眼差しで俺を見ている。

「はぁ、分かったよ。お前らに任せる、その方が奴隷たちの将来は確実だしな」

 ひらひらと掌を上に向けて手を振り、俺は『もう何もしませんよー』と、ばかりにジェスチャーをする。

「ありがとうございます──ジークア家は全員、身柄を確保させていただきます。捕らえなさい」

 ジューリアの掛け声で憲兵が動く。こいつら〝大都市エルクステン〟の憲兵だぞ? つーか、何で、ジューリアが憲兵を動かせるんだ!?
 王族と奴隷商人は「離せ、無礼者!」とか「貴様ら許さんぞ」とか最後まで往生際が悪い。

「で、俺のことは捕らえなくていいのか? 俺は指名手配犯だぜ? なあ、ロップイヤー少女?」
「ロップイヤー少女とは私のことですね。私はレモン・リーリアと申します。ユキマサ様の事は〝聖教会〟では〝大聖女〟ノア・フォールトューナ様の命により指名手配の手配書の破棄を目標に動いています。故に私たちは貴方を追いも捕らえもしません」

「そりゃ助かる」
「ですが、そちらの〝千妖〟は私の判断ではどうこうできません」
「黒芒か、確かフォールトューナ家が封印してたらしいが、封印を壊したのは俺だ。そして今は黒芒は俺の仲間だ。例え、引き渡せと言われても、はいそうですかと易々と引き渡すワケにもいかない」

「……困りました。判断材料が足りません。ジューリア様、どうしましょう……」
「ノア先輩に聞きましょう。つい最近〝通信石〟の生成に成功しています。今こそこれの出番でしょう」

 ポケットから、卵サイズの白く丸い石を取り出すと、石が光り近未来の3Dの液晶画面のような物が映し出される。と、ポチポチと何かを入力する仕草をすると、プルプルプルと音を発し出す。
 てか、呼び出し音、それ異世界共通なのな。

 3コール目でノアの声が聞こえた。

『もしもし、ジュリちゃん? 何かあった?』
『先輩様、少しイレギュラーが発生しました。私共では判断ができません。すみませんが助力を』

 ほいほいと俺は通信石を貸してくれとジェスチャーする。

『すいません。通信を変わります』
『うん? 変わる? 誰にかな? レモンちゃん?』

『よう、レモンじゃなくて悪いな。ノア、俺だユキマサだ──』

 ゆっくりと通信石越しに俺はそう告げる。
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