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■ハッピー・エンド
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■ハッピー・エンド
初めてソラに味見して貰ってから、数日経った。
あれから、生活の中に大きな変化は無い。いたって普通に生活している。今日だって、俺は自分の部屋で寝たし、ソラが作った朝ご飯を食べた。顔を洗って、着替えをして。今日は何をしようかな? 何て考えている。
「……」
(でも今の状況って、恋人との同棲生活ってことだよな?)
いい年をして、初めての恋愛、初めての告白。
恋愛漫画やドラマであるような、「好きです! 付き合って下さい!」なんて告白なんかせず。一人悶々と迷って、それから性的にも悶々とした日々を送っていたのが何だか急に懐かしくなる。
思い出に浸ろうとしたが、それよりも今の幸せを噛みしめたい。一応、お互いに特別な好きだとういう意志疎通はした……はず。つまり、恋人同士だ。
「いや、待てよ……?」
本当に恋人同士といえるのか……?
『味見してくれ』なんて告白は、そうそうしないと思うが俺なりの「好き」と伝えられた……と思う。お互いに好きだと言うことを確認したが、あの時は雰囲気に飲まれただけたったり……????
(告白の時のすれ違いもあるし、一度確認しておいた方が良いな????)
と冷静になったのは、ソラからあの日以降も「味見」を数回経験してからだった。
「ソラ、大事な話がある」
「え、何? 急に。高見がそんなこと言い出すの、僕怖いんだけど」
善は急げと、ソラに声をかけた。以前よりも、ソラは心の内を話すようになったと思う。
今だって、俺の言葉にこの有様。俺が別れ話でもすると思っているんだろうか。
「大丈夫、そんな変な話はしないよ」
「本当?」
「ああ。ただ、念のための確認だけだ」
「確認……?」
首を傾げるソラ。眉間に皺が寄ったのが珍しく、ふと味見する時に我慢している時のように見えてキュンと胸が鳴った。(落ち着け、俺。チョロイぞ)
「えっと……」
「コホン」
ソラの前に思わず正座。ソラが俺の前にやって来て、少し前屈みになって俺と視線を合わせた。今日の俺は言うぞ! と咳払いを一つ。ソラはといえば、やはりソワソワしている。
「高見、確認って……?」
「ああ。大事なことを確認したいんだ」
「どんな?」
「俺は、ソラが好きだ。もう何度も言っているけど、特別。食べて欲しいくらい好きだ」
「それは……知ってるよ。僕だって、高見のことが大好きだし。高見のこと食べちゃいたいくらい好きだから」
「そっか」
良かった。どうやらこの認識は、相違ないらしい。
ほっと胸を撫で下ろしたが、今日の俺は一味違う。
「ソラも俺と同じ気持ちで嬉しい。その……俺たちの関係っていうのは……」
「そんなの、恋人同士でしょう?」
「は????」
ちょっと待て。何だ、恋人って。いや、正解なんだけどさ。
「ソラにも恋人っていう認識があったんだな」
「高見、流石の僕も傷つくよ。ところで高見、僕も良い?」
「何だよ?」
すぅっ……と息を吸い込んで、ソラが俺の頭を指で撫でて言った。
「結婚を前提にお付き合いして頂けますか?」
「なっ……! な、なぁ……~~っ! それって……!」
「プロポーズだよ」
「…………っ! こちらこそ宜しく!」
告白からプロポーズまで。
それこそ、本当におとぎ話のハッピー・エンドだと思った。
「あ、そうだ。今度リタに高見のウェディングドレスを頼んでおくね」
「ちょっ!!」
こんな調子で俺たちの新婚生活は始まるんだろうな。
*****
とりあえず、こちらのシリーズはこれで終わりになります
終わらせられて良かったです
お読み下さり有難うございました!
※作品情報修正しました
他シリーズを始めるか、詰んでいる他シリーズの更新をするかと思いますので、お読み頂けると嬉しいです
初めてソラに味見して貰ってから、数日経った。
あれから、生活の中に大きな変化は無い。いたって普通に生活している。今日だって、俺は自分の部屋で寝たし、ソラが作った朝ご飯を食べた。顔を洗って、着替えをして。今日は何をしようかな? 何て考えている。
「……」
(でも今の状況って、恋人との同棲生活ってことだよな?)
いい年をして、初めての恋愛、初めての告白。
恋愛漫画やドラマであるような、「好きです! 付き合って下さい!」なんて告白なんかせず。一人悶々と迷って、それから性的にも悶々とした日々を送っていたのが何だか急に懐かしくなる。
思い出に浸ろうとしたが、それよりも今の幸せを噛みしめたい。一応、お互いに特別な好きだとういう意志疎通はした……はず。つまり、恋人同士だ。
「いや、待てよ……?」
本当に恋人同士といえるのか……?
『味見してくれ』なんて告白は、そうそうしないと思うが俺なりの「好き」と伝えられた……と思う。お互いに好きだと言うことを確認したが、あの時は雰囲気に飲まれただけたったり……????
(告白の時のすれ違いもあるし、一度確認しておいた方が良いな????)
と冷静になったのは、ソラからあの日以降も「味見」を数回経験してからだった。
「ソラ、大事な話がある」
「え、何? 急に。高見がそんなこと言い出すの、僕怖いんだけど」
善は急げと、ソラに声をかけた。以前よりも、ソラは心の内を話すようになったと思う。
今だって、俺の言葉にこの有様。俺が別れ話でもすると思っているんだろうか。
「大丈夫、そんな変な話はしないよ」
「本当?」
「ああ。ただ、念のための確認だけだ」
「確認……?」
首を傾げるソラ。眉間に皺が寄ったのが珍しく、ふと味見する時に我慢している時のように見えてキュンと胸が鳴った。(落ち着け、俺。チョロイぞ)
「えっと……」
「コホン」
ソラの前に思わず正座。ソラが俺の前にやって来て、少し前屈みになって俺と視線を合わせた。今日の俺は言うぞ! と咳払いを一つ。ソラはといえば、やはりソワソワしている。
「高見、確認って……?」
「ああ。大事なことを確認したいんだ」
「どんな?」
「俺は、ソラが好きだ。もう何度も言っているけど、特別。食べて欲しいくらい好きだ」
「それは……知ってるよ。僕だって、高見のことが大好きだし。高見のこと食べちゃいたいくらい好きだから」
「そっか」
良かった。どうやらこの認識は、相違ないらしい。
ほっと胸を撫で下ろしたが、今日の俺は一味違う。
「ソラも俺と同じ気持ちで嬉しい。その……俺たちの関係っていうのは……」
「そんなの、恋人同士でしょう?」
「は????」
ちょっと待て。何だ、恋人って。いや、正解なんだけどさ。
「ソラにも恋人っていう認識があったんだな」
「高見、流石の僕も傷つくよ。ところで高見、僕も良い?」
「何だよ?」
すぅっ……と息を吸い込んで、ソラが俺の頭を指で撫でて言った。
「結婚を前提にお付き合いして頂けますか?」
「なっ……! な、なぁ……~~っ! それって……!」
「プロポーズだよ」
「…………っ! こちらこそ宜しく!」
告白からプロポーズまで。
それこそ、本当におとぎ話のハッピー・エンドだと思った。
「あ、そうだ。今度リタに高見のウェディングドレスを頼んでおくね」
「ちょっ!!」
こんな調子で俺たちの新婚生活は始まるんだろうな。
*****
とりあえず、こちらのシリーズはこれで終わりになります
終わらせられて良かったです
お読み下さり有難うございました!
※作品情報修正しました
他シリーズを始めるか、詰んでいる他シリーズの更新をするかと思いますので、お読み頂けると嬉しいです
応援ありがとうございます!
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返信くださったのに返すのが遅くなりほんとに申し訳ないです💦
1話の階段から落ちるシーンのところです💦
いえいえ
わざわざご返信有難うございます!
修正致しました!
初めまして、いきなり誤字のしてきすみません💦
仕事や済んで と書いてあるのは
仕事休んで の誤字だと思うのですが、
間違ってたらすみません
初めまして!
ご連絡有難うございます。確認不足ですみません>< PCが結構変な変換しやすくて💦
ご連絡頂いた通りの誤字になりますね>< 箇所が分からず、教えて頂けば修正致します…!