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嵐の夜
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「さて、どの部活がよいかしら」
あの後自宅に着いてから私は手元にある、先生から渡された部活の案内資料をリビングで見ていると、執事のセバスチャンが紅茶を持ってきてくれた。
「紫苑様が希望しておりました、オレンジゼリーとオレンジペコーです。おや、部活の資料ですか?」
「えぇ、でもどの部活も魅力的なのよ。クラスの方に色々勧誘はされているのだけれど、どれも迷ってしまって…」
以前バスケの授業を受けてバスケも楽しいし、他の運動部もありやり甲斐がありそうだけど、美術や音楽も良いから迷うわ。
「土曜日部活見学しにいくの。ふふ、見学は楽しみだわ」
後ろからコツンと叩かれ振り向くと真斗だった。
「で、部活すんの?」
「えぇ、まだ決めてはいないけど今週の土曜日色々と見てまわろうと思って」
セバスチャンは真斗にデザートを運ぶと、真斗はオレンジゼリーをペロリと一口で食べた。凄いわね。
「ひとりで見てまわるのか?」
「いいえ、西園寺さんが一緒にまわってくれるらしいわ」
西園寺さんの名前を口に出した途端何故か、真斗の眉間にシワが寄っていた。同じ王子と言われてる仲だから嫌なのかしら?
「…俺もいく。何時?」
「え?真斗はサッカーとゆう部活が…」
「午前少しミーティングだけあるし、今週は大丈夫。何時?」
「11時に図書室で待ち合わせだけど、いいのかしら?」
真斗は私の頬っぺたをつねって少し意地悪な顔をしながら笑って話す。
「お前何やらかすかわからねえからな。それだけだ」
ふふ、口は悪いけど姉想いな弟と思ってていいかしら。
セバスチャンは自分の時計をみた。
「では我々は本日から明日の夕方までは全員いませんのでなにかありましたら、ご連絡下さい」
真斗は目を丸くした。
「は?何それ。聞いてないんだけど。メイドらもいないの?!」
「えぇ、そうです。二人ほど残りますが、彼女達は屋敷住まいのものでありませんから、夜の8時以降はお二人でお留守番ということになりますが…以前から月に一度は皆の事も考えこのようにしてたのに今更何か不都合な事でもありますかな?」
何故かクスクスと笑いながら、真斗をからかってるようにみえるセバスチャン。そんなセバスチャンを真斗は「いつも親いるだろ。親父らもいないのかよ!」と責めていました。
「そんなにセバスチャン達が恋しいみたいね。今夜は私だけしかいないけど、寂しいなら私が夜相手をするわ」
「言い方に気をつけろ…」
ため息をしながら真斗はそそくさと、自分の部屋へ戻っていく。首を傾げてると何故かセバスチャンや他のメイド達も笑っていた。その後セバスチャン達はいなくなり、8時まで勤務のメイド達も帰っていった。
お風呂に入り終わり、自分の部屋へ戻ろうと廊下を歩いていた。
ゴロゴロ…
「あら…雷の音だわ」
窓の外を見るとポツポツと雨が降り始めた。
カミナリ、苦手なのよね。…あぁ嫌な音だわ。
昔は…いえ、転生する以前小さな頃から雷が苦手でよく泣いていたわね。婚約者のルイ様は私の両耳を両手で押さえてくれて、音が聞こえないようにしてそばにいてくれてたわ。
「大丈夫!怖くないよ!ぼくがリリーを守ってあげるから」
真っ直ぐな目で私に笑顔を向けてくれたルイ様…
「はあ…」
ダメね、由美の事いえないわね。私は今だにルイ様を恋しがっている。懐かしんでいる。会いたがっている。つくづく駄目な女ね。あんな事を言われて挙げ句の果てには殺されて…。もう私はリリーでもないのに、新たな人生を送らなければならないのに。そう考えていたらピカッと雷が光、ものすごい勢いの音が鳴り響いた。
「……っ!!!」
…怖いっ!いやだ!!
雷にビックリして立てなくなりうずくまって泣いていたら
「おまえ…何また泣いてんだ…」
「ぐすっ、かっ、雷が・・・苦手なのよ」
真斗は自分の髪をクシャと触りながら、ため息をついていたわ、呆れているかもね、こんな歳でまだ雷が怖いだなんて…。フと真斗の方を見ると真斗は私のそばに寄り、座った。そして、タオルを被せてくれて雷の音が聞こえないよう私の耳をそっと塞いでくれた。
真斗は何も言わずただ、黙っていただけだった。
雨と微かに聞こえる雷の音…。
なんだか時が止まってるみたいだわ。
少しだけ隣にいる真斗の手と肩の温かさに安心した。
ぶっきらぼうな弟の手に安心してしまった私は深い眠りについた。
スースーと安心して眠った紫苑を抱き上げて部屋へと運ぶ真斗はジッと彼女を見つめながら呟く。
「……雷が苦手なのは、記憶なくなる前と変わらなんだな」
あの後自宅に着いてから私は手元にある、先生から渡された部活の案内資料をリビングで見ていると、執事のセバスチャンが紅茶を持ってきてくれた。
「紫苑様が希望しておりました、オレンジゼリーとオレンジペコーです。おや、部活の資料ですか?」
「えぇ、でもどの部活も魅力的なのよ。クラスの方に色々勧誘はされているのだけれど、どれも迷ってしまって…」
以前バスケの授業を受けてバスケも楽しいし、他の運動部もありやり甲斐がありそうだけど、美術や音楽も良いから迷うわ。
「土曜日部活見学しにいくの。ふふ、見学は楽しみだわ」
後ろからコツンと叩かれ振り向くと真斗だった。
「で、部活すんの?」
「えぇ、まだ決めてはいないけど今週の土曜日色々と見てまわろうと思って」
セバスチャンは真斗にデザートを運ぶと、真斗はオレンジゼリーをペロリと一口で食べた。凄いわね。
「ひとりで見てまわるのか?」
「いいえ、西園寺さんが一緒にまわってくれるらしいわ」
西園寺さんの名前を口に出した途端何故か、真斗の眉間にシワが寄っていた。同じ王子と言われてる仲だから嫌なのかしら?
「…俺もいく。何時?」
「え?真斗はサッカーとゆう部活が…」
「午前少しミーティングだけあるし、今週は大丈夫。何時?」
「11時に図書室で待ち合わせだけど、いいのかしら?」
真斗は私の頬っぺたをつねって少し意地悪な顔をしながら笑って話す。
「お前何やらかすかわからねえからな。それだけだ」
ふふ、口は悪いけど姉想いな弟と思ってていいかしら。
セバスチャンは自分の時計をみた。
「では我々は本日から明日の夕方までは全員いませんのでなにかありましたら、ご連絡下さい」
真斗は目を丸くした。
「は?何それ。聞いてないんだけど。メイドらもいないの?!」
「えぇ、そうです。二人ほど残りますが、彼女達は屋敷住まいのものでありませんから、夜の8時以降はお二人でお留守番ということになりますが…以前から月に一度は皆の事も考えこのようにしてたのに今更何か不都合な事でもありますかな?」
何故かクスクスと笑いながら、真斗をからかってるようにみえるセバスチャン。そんなセバスチャンを真斗は「いつも親いるだろ。親父らもいないのかよ!」と責めていました。
「そんなにセバスチャン達が恋しいみたいね。今夜は私だけしかいないけど、寂しいなら私が夜相手をするわ」
「言い方に気をつけろ…」
ため息をしながら真斗はそそくさと、自分の部屋へ戻っていく。首を傾げてると何故かセバスチャンや他のメイド達も笑っていた。その後セバスチャン達はいなくなり、8時まで勤務のメイド達も帰っていった。
お風呂に入り終わり、自分の部屋へ戻ろうと廊下を歩いていた。
ゴロゴロ…
「あら…雷の音だわ」
窓の外を見るとポツポツと雨が降り始めた。
カミナリ、苦手なのよね。…あぁ嫌な音だわ。
昔は…いえ、転生する以前小さな頃から雷が苦手でよく泣いていたわね。婚約者のルイ様は私の両耳を両手で押さえてくれて、音が聞こえないようにしてそばにいてくれてたわ。
「大丈夫!怖くないよ!ぼくがリリーを守ってあげるから」
真っ直ぐな目で私に笑顔を向けてくれたルイ様…
「はあ…」
ダメね、由美の事いえないわね。私は今だにルイ様を恋しがっている。懐かしんでいる。会いたがっている。つくづく駄目な女ね。あんな事を言われて挙げ句の果てには殺されて…。もう私はリリーでもないのに、新たな人生を送らなければならないのに。そう考えていたらピカッと雷が光、ものすごい勢いの音が鳴り響いた。
「……っ!!!」
…怖いっ!いやだ!!
雷にビックリして立てなくなりうずくまって泣いていたら
「おまえ…何また泣いてんだ…」
「ぐすっ、かっ、雷が・・・苦手なのよ」
真斗は自分の髪をクシャと触りながら、ため息をついていたわ、呆れているかもね、こんな歳でまだ雷が怖いだなんて…。フと真斗の方を見ると真斗は私のそばに寄り、座った。そして、タオルを被せてくれて雷の音が聞こえないよう私の耳をそっと塞いでくれた。
真斗は何も言わずただ、黙っていただけだった。
雨と微かに聞こえる雷の音…。
なんだか時が止まってるみたいだわ。
少しだけ隣にいる真斗の手と肩の温かさに安心した。
ぶっきらぼうな弟の手に安心してしまった私は深い眠りについた。
スースーと安心して眠った紫苑を抱き上げて部屋へと運ぶ真斗はジッと彼女を見つめながら呟く。
「……雷が苦手なのは、記憶なくなる前と変わらなんだな」
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