祇王と仏午前
平安時代の昔、あの絶大な権力者だった平清盛に囲われた白拍子がいました。名は祇王。白拍子とは今で云えば芸能人となるでしょうか。いまの芸能人たちはステータスシンボルであり、万人の憧れの的ですが、昔の白拍子たちは必ずしもそうではありません。権力者やお金持ちに囲われれば天国ともなりましょうが、飽きられて捨てられたら一転地獄となってしまいかねなかったのです。住む家もなく、野山に庵を建てて住まうことともなったことでしょう。実は他ならぬこの祇王もそうだったのです。自分の妹分だったのでしょうか仏午前というもうひとりの白拍子を清盛に紹介し、自分と同じように取り立ててもらったのですが、清盛はやがてその仏午前ばかりを重用するようになり、祇王は捨てられてしまいます。ひとりわびしく野山に庵住まいをする祇王。ところが…年を経てからこんどはその仏午前も捨てられてしまい、ほかに行く当てもなかったのでしょう、ふたたび姉貴分だった祇王を庵にたずねてまいります。祇王は彼女をやさしく迎えたと思われます。そう云うのには祇王が残した和歌が今に残っているからです。「もえいずるも枯るるも同じ野べの草いづれか秋にあはではつべき」なる一歌。しょせんわたしたちは野べの草、過去は一時の夢とあきらめて、朽ち果てるまでここで仲良く暮らしましょうとでもするようなこの歌にそれが読み取れましょう。さて、実はこの逸話に加えていまひとつ私はこの小説に主題を添えてみたい。それは「シャーロットの女」というイギリスの画家ウォーターハウスが描いた絵の主題をぜひここに入れてみたいのです。それについてはあとのお楽しみ、祇王の逸話とともにどうぞ小説内で存分にご堪能ご確認ください。さあ、ではどうぞ。小説の世界へ。
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