記憶を運ぶ折畳み式ボート

「私は……記憶を運ぶボート」

1912年4月14日の夜、タイタニック号の甲板で一隻の折畳み式救命ボートが自我に目覚めた。

C号と呼ばれるその小さなボートは、タイタニック号から「シーラ」というニックネームを名付けられた。

だが、出会いからわずか数日後の氷山との衝突、そして凍える北大西洋での悲劇の夜。

40人の命を救ったシーラは、次にブリタニック号の病院船として、戦時下の激しい海を航行する。

そして最後は、三姉妹の長女オリンピック号と共に、平和と戦争の狭間を生き抜いていく。

大海原を舞台に、小さなボートが運ぶのは人だけではない。

タイタニックの悲劇、ブリタニックの勇気、オリンピックの強さ——

三姉妹船の記憶を背負い、20世紀初頭の激動の時代を漂う物語。

木でできた小さなボートの視点で描く、歴史とファンタジーが交錯する感動の航海。

沈みゆく船から救われた命と、決して沈まない記憶の物語。
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