沈んだ船の名を呼べ
「亡くなった夫の湯呑みを、船から持って帰ってほしい」
港町・折戸の小さな引揚店で働く潜水士、真木千帆。借金と古い機関に頭を悩ませる彼女が受けたのは、十二年前に沈んだ貨物船から、青い鳥の描かれた器を捜す依頼だった。
八人で沈んだはずの船の食器棚には、九つの湯呑みが残っていた。
器の数だけで人数は分からない。それでも、海底の暮らしと陸の記録の食い違いを追ううち、読めない札、未払いの飯代、届かなかった声が少しずつ繋がっていく。
潜る人、空気を送る人、遺物を守る人、話すことを拒む人。
それぞれに暮らしを持つ人々が、失われた船と名前に向き合う海洋冒険ミステリー。
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