留守番のいる街
空室から聞こえたのは、食器を洗う音と、自分の声だった。
騒音調査を手伝う元・効果音助手の榎原透は、古い集合住宅で奇妙な部屋に出会う。誰も住んでいないはずなのに食卓が現れ、帰ってこない誰かを待つ声がする。隣室の高校生がそこへ入り、姿を消した。
手掛かりは、床を伝う生活音、同じ結末にならない昔話、街に散った三つの古材。聞き書きを集める女性や旧師匠と調べる透の前で、怪談を売る映像制作者が、新しい「帰る場所」を作り始める。
その部屋にいるのは、死んだ人なのか。それとも、人の暮らしを覚えてしまった別の何かなのか。
音と噂が形を持つ街で、帰ることと、そこから出ていくことを探す現代怪異ミステリー。
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