雲海に溺れる

一生に一度の恋だと、そう信じていた。


高校2年生の5月という微妙な時期に転校することになった蒼依は、転校先の高校で新しい人たちと出会うことになる。

恋を失うと書いて、失恋。
その失恋の傷から掬い上げてくれるのは結局のところ、新しい恋でしかないのだ。




身悶えするほど、息苦しくなるほどの、恋。
一生で一度味わうか味わわないか、それくらいの恋情を欲していた。

新しい、過去を超える深いものがないと、ずっと過去に溺れたまま。酸素を求め沈み続けるだけ、だ。

「せんせい、」

必要不可欠だった「酸素」はもういない。
恋い焦がれた酸素は、あの人は、先生は、すべてシルバーリングに吸い込まれてしまった。



あのひとを殺してしまえたら、どんなによかったか。





青くて、淡い、激流のような恋をした。
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