嫌われ王女は叡智すぎて世界を滅ぼしかねないために魔力を封印されている
王都キンヴェルは近代化が進んだ今でも魔法使いたちが多く必要とされている。
中でも、人々を糧にする魔獣たちの侵攻を食い止めるための結界を維持できる魔法使いは非常に重宝されてきた。
ーー王女レティフールが誕生するまでは。
彼女は類稀なる“魔力の器”を持って生まれた。
その力は底を知らず、乳飲子のときよりその片鱗を見せていて。まだ幼い王女は自らの魔法に喰われてしまうのではないかと、陛下付きの魔法使いたちは慄いていた。
程なくして、何代にも渡り王城を支えてきた執事家ロッキンデンに王女と同い年にあたる嫡男が産声を上げる。
アルベウス・フォン・ロッキンデン。
彼もまた王家に従ずるに相応しい魔力と知性の持ち主であった。それが判明したのは、国王陛下が王女を連れ、アルベウスの元を訪れたことがきっかけである。
溢れんばかりに漏れ出ていた王女レティの魔力は常にその周囲に光を放っていた。
互いに赤子だったにも関わらず、たった数十センチ近づいた途端、彼女から放出されていた魔力が見る見るうちに体内へ集束していったのだ。
「其方の息子を王女レティフールの専属従者として任命する。良いな」
ーーこうして、わたし達は出会った。
これはきっと運命なのだと思っていた。でもそれは、わたしだけだったみたい。
無事に成人の儀を終えた。求婚者もお父様に様々な理由をつけて断っていただいている。全ては彼のため。
ううん。彼と、わたしが一緒にいるためだ。
その思いは通じることは一生ないのだと思う。
幼い頃は、家族のように仲の良かったわたし達は、今では業務以外の会話などないに等しい。
否、なかった。
ーー嫌われている。
そう悟ったのは、まだ十二の冬だった。
「それでもいい。嫌われててもいいから……わたしはアルの側に居たい」
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