日本史モデル小説一覧

1
ryo
 天歴1586年。リュウキュウ民国は滅びようとしていた。その国の王子クリフと側近のスケサクは、君主のガーディアンの指示に従って、生き延びるために国外脱出を図った。その逃亡先は倭国である。  倭国は首都の西都部を含む西方部、中部に位置する中央街、そして未開拓地の東方部からなる本島と、冠雪地域の北方部、本島から少し離れた場所にある四之島、独自の文化を築いていた南方部といった諸島群からなる島国だった。  倭国の歴史は古く、元々は天海人という貴族と、彼らに仕える公家が西都部を中心に政治を行う中央集権国家だった。種族は人間がほとんどであり、一人ひとりの生活水準は安全且つ快適だった。そして辛抱強く義理人情に厚い民族性を持ち、外界の優れた技術や文化を取り入れて改良する事にも長けていた。いわば職人魂に溢れる国だった。こうした経緯もあって倭国は大きな発展を遂げた。  しかし天歴1200年頃になると、国勢は一変した。大国チュウカ帝国が侵攻してきたからだ。度重なる侵攻を受けた倭国は疲弊し、領民の生活は脅かされる日々が続いた。それは倭国の民族性に大きな影響を及ぼし、徐々に閉鎖的・排他的な国に変わっていく事になった。100年が経つ頃には、ほとんどの地域が外界との交流を断ち、よそ者を受け入れないようになってしまった。一方で度重なる侵攻を受けても倭国は支配される事はなかった。その理由は天海人が国を守るための武装組織『武士』を結成したからだ。彼らは外界の書物を読み漁って様々な力を手にし、強力な武器や新しい戦術・戦略を生み出したのだ。その甲斐あって外界を退けるだけの軍事力を持つ事に成功し、独立を保てたのだ。  これで倭国にも平和な時が訪れるかのように思えたが、今度は武士が土地を手にして『大名』と名乗り、各地で覇権争いを始めた事で世は再び乱れてしまった。まさに倭国は『戦乱の世』になってしまったのであった。
24h.ポイント 0pt
小説 184,458 位 / 184,458件 ファンタジー 42,362 位 / 42,362件
文字数 31,582 最終更新日 2021.08.10 登録日 2021.08.09
1