妖怪・あやかし 小説一覧
2
件
1
第1章 あらすじ
秋田の山間にある現川村で、孤独に生きる妖怪・龍児は、東京から訪れた少女・綾香と出会い、初めて「恋」を知る。綾香の憂鬱な夏休みは、龍児との邂逅によって静かに動き出す。短くも濃密な時間の中で、龍児は人間に心を寄せていく。
かつて人間だった龍児は、雷による火災で命を落とす前、姉の美奈子に深く愛されていた。妖となった後、溺れた美奈子を救い、再び絆を結ぶ。同じ夏、龍児は麗とも出会い、大人の関係を経験する。
やがて綾香は妖の里を訪れ、龍児の育ての親である長老と対面。麗との過去を知り落ち込むが、すべてを夢のように忘れてしまう。龍児・綾香・美奈子・麗は、それぞれの想いを抱えながら夏休みを過ごす。
第2章 あらすじ
「25歳になった少女たちが、再び『あの夏』と向き合う——。」
綾香と美奈子が東京・五反田に帰郷したのを追い、龍児は人間の姿で「御神楽 龍児」と名乗り現れる。姉の弟として社会に溶け込み、夜の世界で修業を重ねる中、麗と再会。心を病んだ彼女を案じ、陰ながら支えようとする。
龍児はやがて才能を開花させ、「東京の風俗王」と称されるほどの成功を収める。百店舗以上を展開し、誠実な経営で業界の信頼を得るが、表舞台を避け、現場と人との絆を重んじる姿勢を貫く。魔術は自らのためには使わず、他者の幸福のためにそっと力を貸す。
時代の変化とともに事業を後進に託し、地域支援にも尽力。頂点の先で綾香と再会し、新たな人生へ踏み出す。現役を退いた龍児は、田舎で綾香と共に静かに暮らしながら、社会の片隅で人々を支える道を選ぶ。
これは、妖怪が人間の心に触れ、愛と共感を知り、真の幸福を見出していく物語。華やかな世界の裏にある誠実な哲学と、穏やかな人生の実りを描いた章である。
文字数 104,060
最終更新日 2025.12.05
登録日 2025.10.22
2
〜ゴースト・イン・ザ・スペクトル〜
###【閲覧注意】そのビデオ、再生したら戻れない。
「――お前も、こちら側に来るか?」
友人との悪ふざけで再生した、ネットに落ちていた「呪いのビデオ」 。それが、僕こと相田奏(あいだ かなで)の平凡な大学生活が終わりを告げた日だった 。
その日から、僕の世界はバグった。電柱の影に、アスファルトの染みに、ショーウィンドウの反射に、蠢く、蠢く、蠢く――人ならざる「ノイズ」、古来より“妖怪”と呼ばれるモノたちが見えるようになってしまったのだ 。狂ったように鳴くセミの声、じっとりと肌に纏わりつく夏の空気、何もかもが僕を追い詰めていく 。
精神的に限界を迎え、半狂乱でネットを検索して見つけたのは一件だけ。『有象無象トラブルコンサルティング・月読リサーチ』 。……怪しすぎる。だが、藁にもすがりたい僕がその扉を開けると、そこにいたのは常識外れの変人たちだった。
「その現象、物理法則で説明できるわよ」
白衣を着て気だるげに笑う、超美人だが性格に難アリの天才霊波物理学者・月読響子 。
「これは、古くから伝わる神様の通り道です」
古風なセーラー服に身を包んだ、清楚可憐な現役女子高生巫女・神楽亜矢 。
「この対妖怪用ガジェットでイチコロだね!」
なぜかボンデージファッションに身を包む、ナイスバディな天才メカニック・マキナ 。
科学とオカルト、最新鋭のガジェットと古の祝詞。水と油のはずの彼女たちに「君のその目は稀有な才能だ」と言いくるめられ、僕は不本意ながら妖怪専門のトラブルシューターとして働く羽目に 。
過去の罪悪感が呼び寄せる「あずき洗い」 、持ち主の独占欲が生み出した「付喪神」 、ネットの評判が実体化したアイドルの「のっぺらぼう」 、そして都市伝説の異界「きさらぎ駅」 ――。
次々と巻き起こる怪事件を解決していくうち、僕たちはこの世界の裏で蠢く巨大な陰謀に辿り着く。すべては、僕が最初に観たあの「呪いのビデオ」から始まっていた 。そして、僕の「観測する」という能力こそが、世界の未来を決定づける最後の鍵だと知らされる 。
これは、この世の理(ことわり)を知るための、僕の不本意で奇妙な記録。
絶望から始まるサイエンス・オカルト・ミステリー、ここに開幕!
文字数 292,731
最終更新日 2025.10.20
登録日 2025.08.26
2
件